AIモデルで地中の埋設物を高精度に探査–富士通らが開発

今回は「AIモデルで地中の埋設物を高精度に探査–富士通らが開発」についてご紹介します。

関連ワード (ビッグデータ等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 戸田建設と富士通、建設コンサルティング会社のきんそくは、地中埋設管の破損事故を未然に防ぐための埋設探査において、人工知能(AI)モデルを用いて埋設管を効率的に検出する埋設探査システムのプロトタイプシステムを開発した。2021年6~11月にかけて試験運用で有効性を確認し、2022年4月から実用化に向けてシステムの構築を進めている。

 日本建設業連合会などの調査によると、建設現場では工事前における埋設管位置の確認不足や図面・台帳の施工記録の不整合などにより、年間150件近くの埋設管損傷事故が発生しているという。これらの損傷事故を未然に防ぐために埋設管の事前調査が行われており、代表的な調査方法の一つに地中レーダー探査装置による計測方法がある。この方法では地中に照射したレーダー反射の変化で現れる双曲線の波形画像から埋設管位置を推定するが、現地計測で取得した数多くの波形画像データから目視で埋設管を判定する専門技術者の不足と作業負荷、判定に対する客観性の担保などが課題だという。

 今回開発したプロトタイプシステムでは、断面図に現れる双曲線の波形を富士通のAI技術で解析し、その連続状態から平面だけでなく深度方向も含めて埋設管の位置を推定する。埋設管位置の推定に対する信頼度を存在確率として0~100%の範囲で利用者に示すことができ、2D/3Dモデルでの出力も可能だ。

 今回のシステムでは、専門技術者の目視判定結果と同程度の精度で検出できるという。数多くのデータに対する目視での見落としの可能性を考慮すると、AIによる検出結果の信頼性向上が期待される。実験フィールドで検証した結果、同システムでの再現率は80%以上であり、局所的には専門技術者の解析結果を上回る制度が確認された。波形画像の解析にまつわる所要時間は、専門技術者が目視判定する場合と比較して75%以上短縮される。波形パターンの違いもAIで解析し、金属/非金属の判別と管内の水の有無を判別する。

 3社は今後、2022年10月の同システム運用開始を目指し、さまざまな工事現場に展開して埋設管の損傷事故防止に役立てるとともに、システムのさらなる精度向上を図る。また、同システムを通して得た知見を建設業界やインフラ事業にまつわる業界に展開する。

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