企業のAI導入は3年以内が6割超、4割超が作業時間の削減実感–ソニービズネットワークス調査
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ソニービズネットワークスは、全国の会社員や経営者・役員1000人を対象にした「AI導入状況調査」を実施、5月30日にその結果を発表した。人工知能(AI)を導入する企業の3分の2が直近3年でAIを導入し、4割以上が作業時間の削減を実感する。一方で会社規模によるAI導入格差が進行していることも分かった。調査期間は2022年3月18~21日、調査方法はインターネット。
AI導入済みの企業に勤める会社員に、「AI導入のタイミング」について聞いたところ、3人に2人(66.6%)が3年以内にAIを初めて導入しているという結果だった。これについて、ソニービズネットワークスでは、3年前が2019年の新型コロナウイルス感染症の拡大開始と重なることから、テレワークの普及に伴い、AI導入も加速したと分析している。
また、「AIの用途」については1位「需要予測、販売予測」(38.8%)、2位「顧客分析、営業活動効率化」(36.6%)、3位「在庫最適化」(33.2%)で、主に効率的な需給管理に使用されていることがうかがえるとしている。
「AIの導入が業務に与える影響」については、4割以上が「作業時間が削減できた」と回答しているほか、3割以上が「生産性が向上した」と回答しており、業務の効率化について一定の成果を感じていることが判明した。一方、「1週間で削減できた作業時間」は、「20時間未満」と回答する人が8割以上となり、大幅な作業時間の削減については今後の課題のようだ。
「AI導入後の運用面の課題」については、半数近くが「AIを最大限活用できていないこと」と回答しており、効率的な運用にハードルの高さを感じていることが明らかになった。
また、3人に1人が「運用できる人材がいないこと」と回答。「導入していない企業が足踏みしている理由」でも、1位に「AIの導入をリードできる人材がいないこと」(31.4%)が挙げられており、導入前後の人材不足が大きな課題となっている。
今後、AI導入が広がっていくと想定される中で、専門人材がいなくてもAIを導入できる手段や効率的に運用できる手段が必要である、とソニービズネットワークスは指摘する。
AI未導入の企業に勤める会社員に「AI導入の検討状況」について質問したところ、「現段階で検討していない」とするのは、300人以上規模の大企業で3割に満たなかったものの、300人未満規模の中小企業では7割を超えており、企業規模によって検討状況に大きなギャップがあると分かった。
AI導入済みの企業についても、「AI導入にかけている年間予算」に格差があり、300人未満規模の企業では、6割以上の企業が300万円までしかAI導入に予算を割けないのに対し、300人以上規模の企業では、半数以上の企業が300万円以上予算を割くことができているという結果だった。ソニービズネットワークスは、会社規模によるAI格差が進行していることが推察されるとしている。
ソニービズネットワークスのAI担当者はコメントで、「以前は研究用途でAIの導入を検討することが多い状況だったが、ここ数年はさまざまな業界、職種で本格的に検討している企業が増えている実感がある」といい、一方で「AI活用における技術的な障壁や費用対効果を示しづらいことで、特に中小規模の企業では導入に一定の懸念があると推察できる。人材不足が社会問題に発展している昨今ではむしろ中小企業でのAI活用が促進されるべきと考えており、AIリテラシーがなくても簡単かつ安価に利用できるツールが求められているようだ」と指摘した。