三井物産とKDDI、DX新会社「GEOTRA」を設立–地理情報サービスを展開
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三井物産とKDDIは6月9日、携帯電話などの位置情報データや人工知能(AI)を活用した新規事業を行う新会社「GEOTRA」を設立したと発表、同日に新サービス「GEOTRA地理空間分析プラットフォーム」の提供を開始した。
両社は、2021年に人流把握・分析の都市シミュレーター技術を開発、実証を経て今回の事業化に至ったという。新会社は、東京・大手町を本社として資本金は10億円、三井物産が51%、KDDIが49%を出資する。代表取締役社長 CEO(最高経営責任者)には、三井物産から出向する入社5年目、29歳の陣内寛大氏が就任した。
新サービスでは、KDDIのau携帯電話サービスの位置情報とAI技術を用いて、人の移動手段や時間、目的などの把握と予測を行うための分析機能を提供する。既に三菱地所と共同で、東京・丸の内地区を対象に新サービスを用いた都市分析や多様な移動手段の提供、街の魅力向上施策などに関する検討を行っているという。また、渋谷区でもこのサービスを使って区内での現状を把握・分析する「シティダッシュボート」を構築している。
同日記者会見した三井物産 代表取締役副社長 執行役員 CDIO(最高デジタルイノベーション責任者)の米谷佳夫氏は、同社のデジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みについて説明。DX戦略では、社会課題解決などの「DXと変革」、データによる業務改善や意思決定などの「データと情報」、多様な人材などの「ダイバーシティーとインクルージョン」を柱として、OT(制御系技術)とデジタルの掛け合わせによる生産性向上、競争力強化による新規事業創出に取り組んでいるとした。
ここでは注力する6分野を定め、今回は社会インフラ分野のDXとしてエネルギーソリューション、スマートシティー関連の取り組みになるという。米谷氏は、「今後も両社の強みを組み合わせることで、モビリティー分野など他の領域でも協業を進めていく」と述べた。
KDDI 取締役 執行役員専務の森敬一氏は、今回の取り組みが、同社の新たな中核事業を創造する「NEXTコア事業」におけるビジネスDXに位置付けるものだとした。活用する位置情報データは、10メートル四方のきめ細やかさや、15分ごとの高頻度更新などが特徴で、全国300自治体が利用していると説明。「予測が肝心であり、未来のまちづくりに貢献していきたい」と語った。
GEOTRAの陣内氏は、新サービスについて特に人流データの分析と人の移動の予測に強みがあるとし、人流データが交通やエネルギー、医療アクセス、経済活動などにおける鍵になると強調した。人の1日の動きを把握することは、これまでプライバシーなどの課題で困難だったが、匿名化などのプライバシー保護関連技術の利用で対応したとのこと。これにより、人の動きや流れのデータを詳細に把握したり提供したりできるようになり、新サービスでは、交通や都市計画などにおける高精度シミュレーションも特徴と説明した。
陣内氏は、「将来は現実空間のさまざまな情報を対象として、各種課題を解決する地理空間のデータ活用を推進していきたい」と意気込みを語った。