「Raspberry Pi Zero W」搭載の小型衛星、ミッションを完了
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フライトコンピューターとして「Raspberry Pi Zero W」を搭載した初の人工衛星が5月、軌道上に117日間とどまるという記録を達成した後、大気圏に再突入した。
キューブサットの「Get Away Special Passive Attitude Control Satellite」(GASPACS)は、2022年1月に国際宇宙ステーション(ISS)から放出された後、世界各地の地上局によって追跡されていた。ユタ州立大学の学部生らによって開発されたこのプロジェクトの主な目的は、「AeroBoom」と呼ばれる、インフレータブルブームを用いた姿勢制御システムの実験を行うことだった。この実験は成功し、GASPACSは軌道上で自律的に姿勢を安定させることができた。
このミッションは、同人工衛星に搭載されている「Raspberry Pi」のカメラから地球に画像が送り返されてきたことを確認した時点、すなわち軌道投入後の最初の18時間以内に完了した。Raspberry Piのウェブサイトによると、低コストのRaspberry Piコンピューターボードが、宇宙空間で使用されるずっと高価なコンピューターの代替として使え、高いコストパフォーマンスを実現できるのかといった、その他のミッションすべても目標を完遂したという。
米航空宇宙局(NASA)の資金を得ているGASPACSは、大学の学部生らが一から作り上げた初のキューブサットだ。ユタ州立大学の「Get Away Special(GAS)Team」のメンバーらによって設計されたこの小型人工衛星は、1辺がわずか10cmの立方体形状となっており、オフザシェルフコンポーネントを用いて組み立てられている。
コンピューターボードのRaspberry Pi Zero Wは、すべてのオンボードコンピューティングを受け持っており、GAS Teamによって開発されたプログラミング言語Pythonのスクリプトを実行するようになっていた。なお、この人工衛星を機能させているソフトウェアの80%以上は、Pythonによって記述されていた。また、Raspberry Pi Zero Wが正常に動作しているかどうかの確認は、DFRobotの「Beetle」マイクロコントローラーが同ボードから数秒おきに送出される「鼓動」(信号)をチェックすることで実現していた。この信号が停止した場合、Beetleはボードの電源を切った後、再投入するようになっていた。研究者らは「宇宙空間でもこの対処がうまく機能する」点を確認した。
このミッションには複数の難関が待ち受けていた。GAS Teamは、太陽からの放射線が爆発的に増加する、過去5年間で見ても最大規模となるXクラスの太陽フレア群がGASPACSを襲った時のことを語った。これらの太陽フレアは、GASPACSとともに軌道に投入されたその他すべてのキューブサットに影響を与えたが、Raspberry Piはこの厳しい状況に耐え抜き、大気圏に再突入する5月23日まで地球に画像を送信し続けた。