後払い決済のアトミ、日本に進出–客単価向上や新規顧客増加をアピール
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シンガポール発の後払い決済(Buy Now Pay Later:BNPL)サービスを展開するAtome(アトミ)は7月6日、日本市場進出に関する説明会を開催した。
同社は2022年3月に日本へ進出し、Atome Japanのゼネラルマネージャーには小売りやフィンテック、モバイル決済の業界で20年近い実績を持つという依田寛史氏が就任した。
2019年12月に事業を開始したAtomeは、シンガポール、インドネシア、マレーシア、香港、台湾、ベトナム、フィリピン、タイ、中国本土でサービスを展開しており、10番目の市場として日本に進出した。世界全体で提携している小売業者(加盟店)の数は1万社以上、登録ユーザー数は2700万人以上、累計の決済数は3000万件以上に上る。
加盟店は、ファッション/ビューティー企業のほか、ライフスタイル関連、ECプラットフォーム、旅行会社など多岐にわたり、Nikeや資生堂グループ、LEGOなど世界的な企業も見られる。Atome Japanは「ソフトローンチ」という形で3月からBNPLサービス「Atome」を国内提供しており、ホテルの開発・運営を行うアゴーラ ホスピタリティーズが既に導入している。
Atomeは消費者と加盟店の間に立ち、消費者が商品を購入すると同社が加盟店に代金を支払い、後日消費者に請求する仕組み。もし消費者から代金を回収できなかった場合は、同社が全額負担する。Atomeは実店舗/ECの両方に対応しており、消費者が利用料などを支払う必要はない。
同サービスは、1~3回など幅広い支払回数に対応しており、分割払いを選択しても手数料はかからない。国をまたいだ決済が可能なことも特徴で、外国のユーザーが日本を訪れた際に現地通貨のまま決済ができるほか、日本の小売業者が海外向けにECで商品を販売する際も活用できる。「アジアの国々をまたいだBNPLのプレーヤーは現状いない。ここはわれわれの強み」と依田氏はアピールした。
Atomeは、現金文化が残っている日本での展開に当たり、消費者の支払方法を追加。クレジット/デビットカードなどに加え、銀行やコンビニエンスストアの現金自動預け払い機(ATM)からの引き落としなど、さまざまな決済方法に対応している。アカウントの開設は、同社がリアルタイムに与信を行い、ユーザーが支払方法を選択したら完了するため、2分もかからないという。
加盟店側にもメリットがあり、分割払いが可能なことで客単価が向上したり、加盟店リストを見たユーザーが訪れて新規顧客の獲得につながったりすることが期待される。実際、同社が実施した加盟店での実証によると、客単価は30%以上向上、新規顧客は25%以上増加したそうだ。
日本の消費者は、飲み物など低価格かつ高頻度で購入する商品には現金やICカード、スマートフォン、ブランド品や海外旅行のチケットなど高価格であまり頻繁に買わない商品にはクレジットカードや銀行振込で決済する傾向があるという。コンビニエンスストアや銀行での後払いなど日本の従来型BNPLサービスは、日用品や比較的安価な衣料品など中ぐらいの頻度/価格の商品を買う際に利用することが多く、Atome Japanはこの領域の上部をまず狙い、徐々に全領域へ広げていくとしている。