在籍33年目を迎えるHP CEOが語った「自らの進化への取り組み」とは
今回は「在籍33年目を迎えるHP CEOが語った「自らの進化への取り組み」とは」についてご紹介します。
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本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、米HP プレジデント 兼 CEOのEnrique Lores氏と、Dropbox Japan 代表取締役社長の梅田成二氏の発言を紹介する。
日本HPは先頃、HPの事業活動について説明するメディア向けイベント「HP Japan INNOVATION SUMMIT」を開催した。同イベントには米HP プレジデント 兼 最高経営責任者(CEO)のEnrique Lores(エンリケ・ロレス)氏もリモートで姿を見せ、日本HP 代表取締役 社長執行役員の岡戸伸樹氏との対談形式でさまざまな話題について見解を示した。冒頭の発言はその中で、「HPの進化」について語ったものである。
Lores氏が語った「HPの進化に向けた3つの取り組み」とは、以下の通りである。
第一に、コアビジネスを引き続き進化させていく。「HPのコアビジネスであるプリンティングもパーソナルシステムズも何十年も前に発明されたものだが、お客さまの抱えるより多くの問題に対処できる機会を見いだした。私たちの進化であるサブスクリプションモデルやサービスは、まさにそれを実現するために設計されている」という。
第二に、隣接市場にも商機を見いだしていく。同氏は「周辺機器やデジタル印刷、あるいはゲーミングなどに目を向けると、その周りには大きな成長が見込まれ、市場と共に私たちも成長する機会がたくさんある」との見方を示した。
第三に、3Dプリンティングをはじめとして、全く新しいカテゴリーを創造していく。「これにより、私たちは事業および製品のポートフォリオを進化させていく」とのことだ。
その上で、次のように強調した。
「どのような場合でも重要なのは、まずお客さまが何を求めているのかをよく理解することだ。私たちは、お客さまが何を必要としているのか、それをお客さまが説明できない場合でもお客さま以上に理解する必要がある。テクノロジーを理解し、テクノロジーがどのように進化していくかを理解することで、お客さまのニーズを満たすことができるようにしていきたい」(写真1)
どの経営トップでも顧客ニーズを把握することの重要性は話すが、それを「お客さまが説明できない場合でもお客さま以上に理解する必要がある」とまではなかなか言えない。PCやプリンタのグローバル市場を長年にわたってけん引してきたHPの確固たる自信を感じさせる発言である。
また、上記の3つの取り組みは、それぞれ一言でいえば「コアビジネス」「隣接市場」「新規市場」で、いわばオーソドックスなアプローチだ。それを、間もなくHP入社33年目を迎えるというLores氏が丁寧に語ったところに、HPが地道な取り組みを続けてきた重みを感じさせられた。
グローバルIT大手の経営トップにはそれぞれ独特のオーラを感じることが多いが、同氏にはそうしたオーラより「自然体」の印象を強く持った。その経営手腕に注目していきたい。