ハードウェアベンダーとしてカスタマーサクセスにコミット–レノボが法人向け事業戦略

今回は「ハードウェアベンダーとしてカスタマーサクセスにコミット–レノボが法人向け事業戦略」についてご紹介します。

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 レノボ・ジャパンは5月30日、法人向け事業戦略に関する記者説明会を開催した。

 代表取締役社長の檜山太郎氏はまず、同社の社是が「Smarter technology for all」(全ての人にテクノロジーの恩恵を届ける)ということを踏まえて、コロナ禍前は自社の製品/技術をいかにユーザーの手に届けるかが一番重要なポイント/ミッションだったと振り返る。

 しかし、コロナ禍を通じては、ユーザーのもとに届けた製品/技術をどうやって活用してもらうか、ユーザーの効率性や生産性を向上させるにはどうすればいいか、新しい働き方や環境でどうやって製品/技術を生かせるかといったことを真剣に考えるようになったという。クラウドサービス事業者などで取り組みが進む「カスタマーサクセス」をハードウェアを中核事業とする同社でも今後重視していく姿勢を示した。

 檜山氏は、同社が実施した調査結果に触れ、新型コロナウイルス感染症の第7波の収束後、テレワーク活用率はコロナ禍前の約3.7倍だったといい、テレワーク従事者に占めるハイブリッドワークの実践率は74%だったと語った。また、情報処理推進機構(IPA)が公開した「DX白書2023」では、デジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組んでいる企業の割合が約69%に及ぶことを紹介した。

 新型コロナウイルス感染症の収束で新しい状況が生まれつつあるが、コロナ禍前に戻るのではなく、新しいやり方の追求が始まっているとした上で、「デジタル市場は変化の岐路に立っており、ここからどう進むかが重要だ」(同氏)との認識を示した。

 加えて檜山氏は、日本のデジタル活用は企業規模や拠点地域で差が広がりつつあり、「二極化が進んでいる」と懸念した。こうした状況に対し、「(PC出荷台数で)トップシェアに立つ企業として、ユーザーに貢献する度合いも大きいものと自らを律していく」と意気込んだ。

 2023年度の法人向け事業については、「カスタマーサクセスへのコミット」「新たなコンピューティング活用領域」「デジタル活用格差の解消」の3点を注力領域に挙げた。さらに、パートナー企業各社との伴走体制の強化でより深化したソリューションの提供を目指すとしている。

 このほか、カーボンニュートラルに向けた取り組みとして「Lenovo CO2オフセットサービス」にも言及。これは、同社のクライアントPCの消費電力量を二酸化炭素(CO2)排出量に換算すると1~1.5トン程度になることから、その排出量に対応するコストを10ドル(約1400円)として同社に支払うことで「デバイスから発生する炭素排出量を同社にオフセット(相殺)する」ことができるというもの。

 同サービスを利用することで、ユーザー企業は自社のCO2排出量にクライアントPCの消費電力分を含めなくてよくなり、こうした取り組みを通じて「ユーザー企業が行きたい方向に行くために、パートナーと協業して取り組む」(同氏)とした。

 続いて、レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ 代表取締役社長のJon Robottom(ジョン・ロボトム)氏は、グローバルで展開する最新のテクノロジー/ソリューションについて事例を交えて紹介した。

 同氏はまず、現在のコンピューティング環境について「集中と分散の再定義が進む」状況という認識を示した。同社ハードウェアのラインアップでも、クライアントPCに加えて、3層構成のサーバーやハイパーコンバージドインフラストラクチャー(HCI)、エッジコンピューティング専用デバイスなど広範にそろえている。

 スペイン・バルセロナで導入された視覚障害者向け向けの支援システムでは、街中に分散配置されたエッジサーバーと視聴覚障害者が装着する拡張現実/仮想現実(AR/VR)デバイスが連携し、横断歩道を渡るタイミングを装着者に知らせることができるという。

 エッジコンピューティングの普及によってさまざまな応用が拡がる一方、デバイス数や使用場所が増えることで電力消費量の増加にもつながる。この観点からも同社のカーボンニュートラルに向けた取り組みが重要となる。

 同氏は、2030年に向けた中期目標としてスコープ1、2の炭素排出量を50%削減することに加え、スコープ3に関しても「お客さまにお届けする製品由来」の35%、「レノボが購買するコンポーネントやサービス」の65.5%、「物流や配送」の25%といった具体的な目標を設定していると強調した。

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