「AWS Snowcone」を宇宙に送り出すアマゾン、その狙いは

今回は「「AWS Snowcone」を宇宙に送り出すアマゾン、その狙いは」についてご紹介します。

関連ワード (オフトピック等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 Amazonは、今のところ国際宇宙ステーション(ISS)への「Amazon Prime」配送には対応していないが、差し当たり、エッジコンピューティングおよびデータストレージ製品「AWS Snowcone」を届けている。

 Snowconeは4月、宇宙開発企業Axiom Spaceおよび米航空宇宙局(NASA)とのISS滞在ミッション「Axiom Mission 1」(Ax-1)の一環として、SpaceXの宇宙船「Crew Dragon」に搭載され、「Falcon 9」ロケットで宇宙へ打ち上げられた。これは世界で初めて民間宇宙飛行士がISSに向かったミッションで、一行は米国時間4月25日にCrew Dragonで地球に帰還した。

 Amazonは、6月に開催した宇宙、人工知能(AI)、ロボット関連のカンファレンス「re:MARS」で初めて、Snowconeを宇宙に送り出していたことを明らかにした。

 SnowconeはAmazon Web Services(AWS)の頑丈なエッジストレージデバイスで、熱や振動の試験を経て、特別な加工はほとんどされないままISSに向かい、ISS向け技術の草分けである「Raspberry Pi」などの製品に加えて配備された。ISSは高度約402kmで地球を周回している。

 Snowconeは「iPad」よりわずかに小さく、重量は2.1kgで、2基のCPU、5GBのRAM、14TBものストレージを搭載している。通常はデータの収集、処理、AWSへの転送に利用されるデバイスだ。データの転送は、Snowconeそのものを配送してオフラインで行うか、データ転送サービス「AWS DataSync」を利用してオンラインで行う。SnowconeがISSに送られたのは、研究チームが船内で実施した科学実験の画像を分析できるようにするためだ。Ax-1の17日間にわたるミッションでは、1日に1TBものデータが生成されたという。

 Amazonが指摘しているように、Snowconeは「宇宙ミッションでの利用を想定したものではなく」、地上でモバイルネットワークを利用できない厳しい条件下での利用を想定している。

 AWSで機械学習(ML)ソリューションを手がけるML Solutions LabはAxiomと協力して、Nikonのカメラで撮影した写真を調査するMLモデルを開発した。これらの写真をISSのネットワーク接続型ストレージ(NAS)に保存し、ISSのLAN経由でSnowconeデバイスに転送して処理したと、AWSのエバンジェリストJeff Barr氏は説明する。

 ミッションの間、Snowconeは思わぬ困難にぶつかった。Snowconeが小文字の拡張子を検索したのに対し、NASに保存されていた写真の拡張子は大文字だったことだ。そこで地上のエンジニアらがSSH(セキュアシェル)を介してSnowconeに接続することに成功し、問題に対処して、更新したMLモデルを用意できたとBarr氏は話す。

 Snowconeは、宇宙旅行や地球低軌道(LEO)衛星に対してAmazonが抱く野望のほんの一部にすぎない。同社は4月、衛星ブロードバンド計画「Project Kuiper」の一環として、創業者のJeff Bezos氏が率いる民間航空宇宙企業Blue Originのほか、Arianespace、United Launch Alliance(ULA)と提携し、5年間で83回の打ち上げを実施する契約を結んだ。これにより、計画している3236基のブロードバンド衛星の大部分を打ち上げられることになる。ただし、現時点で衛星はまだ打ち上げられていない。

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