ますますユーザーの近くに–アマゾンCTOが語るクラウドサービスの現在地
今回は「ますますユーザーの近くに–アマゾンCTOが語るクラウドサービスの現在地」についてご紹介します。
関連ワード (クラウド等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
Amazonの最高技術責任者(CTO)であるWerner Vogels氏は、米国時間7月27日にビデオ会議システム「Amazon Chime」を使って米ZDNetが行ったインタビューで、「最近では、クラウドがすぐ近くにあるものになっている」と語った。
同社のCTOを17年にわたって務めているVogels氏はまず、クラウドコンピューティング技術の発展について振り返った。同氏の話は、2006年に世界で始めてパブリッククラウドサービスを提供し、クラウドコンピューティングをあらゆるコンピューターの用途に浸透させた立役者であるAmazonの「Amazon Web Services(AWS)」を中心としたものだった。
Vogels氏によれば、世間では今でも、「クラウドはどこか遠くにある少数のもの」によって提供されていると思われているという。同氏は「私たちがAWSの最初の2リージョンを立ち上げた初期の頃であれば、その通りだったかもしれない」と続けた。
しかしVogels氏は、AWSのインフラの全体像を例に取り、「今では世界中に24のリージョンがあり、84のアベイラビリティゾーンがあり、数百のPOPがあり、5Gのアクセスポイントや宇宙のエッジにさまざまなものを送り込んでいる。クラウドは個々のユーザーにどんどん近づいている」と語った。
クラウドは文字通り身近な存在になっている。私たちが歩いたり、話したり、メッセージを送ったり、アプリを使ったりしているときには、どこかでAWSが使われている可能性が高い。
5Gのスマートフォンを使っていれば、利用しているキャリアのAWSサービスにアクセスしていてもおかしくはないし、実際、そのサービスは近くのAWSのアクセスポイントで運用されているかもしれない。
AWSの「Local Zones」は、「クラウドはそれぞれのユーザーに近づいている」という表現を象徴する存在だと言えるだろう。Local Zonesは、コンピュートや、ストレージや、その他のサービスを人口密集地域に近いところに展開するための仕組みだ。
Vogels氏は、「顧客に対してストリーミングやゲームを非常に低い遅延で提供したいと思う事業者は、AWSの主なリージョンがある地域では、アクセスポイントを設けていない」と述べた。「彼らは顧客に近づくために、Local Zonesを使ってサービスを運用している。Local Zonesは、製品として大きな成功を収めている」
実際、AWSは、Amazonの事業の1つとして大きな成果を挙げ続けている。 Amazonは、7月28日の夜に直近の四半期決算を発表したが、AWSの四半期売上高は、前年比33%増の200億ドル弱に達した。Amazonは、AWSの売上高は、年間ランレートに換算して800億ドル弱に相当すると述べている。同社は2022年、インフラ関連の商品やサービスに対する投資をステップアップし、AWSの事業を強化する予定だという。
クラウドがユーザーに近づき続けているという事実は、興味深い形で私たちにも感じ取れるようになっている。周囲の建築物に組み込まれている組み込み技術や、スマートテクノロジーや、センサーがそれだ。
「私が気づいたことの1つに、デジタルのものと物理的なもの、あるいはアナログなものの間にある明確な差異が消滅しつつあるということがある」とVogels氏は言う。「デジタルセンサーの環境への組み込みや、それらのセンサーとの相互作用という概念が確実に重要性を増している」