セールスフォースの「AI Economist」–経済の平等と生産性の均衡を目指す人工知能
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Salesforceにとって2016年は転機の年だった。同社はこの年、人工知能(AI)関連の新興企業MetaMindを買収したのだ。MetaMindの共同創業者であるRichard Socher氏はMetaMindのプラットフォームについて、「医療画像や電子商取引画像、自然言語処理(NLP)、そしてその他多くの分野で機能するエンタープライズ向けAIプラットフォーム、つまり開発者向けの機械学習(ML)ツールとして機能する水平型のプラットフォーム」だと語っていた。
同氏の語った内容が今日のわれわれの興味を引くというのであれば、その言葉は時代の先を見据えていたということになるだろう。MetaMindがSalesforceに買収された結果、Socher氏はSalesforceのチーフデータサイエンティストとして、同社の大規模かつ影響力の大きなアプリケーションに取り組む100人を超えるリサーチャーと、数百人に及ぶエンジニアを率いることになった。そしてAIは、SalesforceのプラットフォームにAI機能を取り込むための広範なイニシアチブである「Salesforce Einstein」を主軸として、同社の取り組みにおける中心的な役割を果たすようになった。
Salesforceは市場指向の取り組みと並行して、「AI for Good」(AIの社会貢献)というイニシアチブを支援してもいる。このイニシアチブには、同社が壮大な構想と位置付けているもの、すなわち現実世界における最適な経済ポリシーを学習するAIの社会的プランナーを構築するという構想が含まれている。「AI Economist」という名のこのプロジェクトは最近、新たな研究結果を公開した。Salesforceのシニアマネージャーとしてリサーチサイエンティストのリード兼AI Economistチームのリードを務めるStephan Zheng氏が今回、同プロジェクトの背景や成果、ロードマップについて語ってくれた。
Zheng氏はディープラーニング(DL)が大きく開花した2013年頃、物理学の博士号取得に向けて取り組んでいた。同氏はSalesforceにおける自らの作業の動機は2つあるとし、それらは「汎用的な知性の原則を見つけ出すためにMLの限界を押し上げることと、社会貢献を実現することだ」と述べた。
Zheng氏は、現代における最重要課題が社会経済に関するものだと考えている。このリサーチに同氏が引きつけられたのは、経済の不平等さによってもたらされる経済機会や健康、社会福祉への悪影響が、ここ数十年で加速してきているためだ。