現状のままだと負担増–freee新サービスに見る「インボイス制度」対応の複雑さ
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freeeは8月24日、「請求書作成サービス」を公開した。無償で利用できる請求書作成サービスは、2023年10月から開始予定の「インボイス(適格請求書)」制度に対応したPDFファイルを出力し、月々の発行枚数が少なく、有償サービスを申し込むほどでもない組織向けのサービスとしている。
同日に2回目の開催となったメディア向けインボイス制度勉強会でfreee プロダクト開発基盤 プロダクトマネジャー 小泉美果氏はインボイス制度について「事業者にとっては規制強化のような制度改正。(現段階で)事務フローを見直して電子化しないと、バックオフィス業務の負担増が見込まれる」と早期対応をうながした。
freeeが2022年6月に実施した調査によれば、半数以上(実施済み:14.9%、実施予定:38.5%、有効回答数148)の組織が免税事業者に対して課税事業者への転換を促すと回答している。請求書の受領方法を調査すると、93.1%が「郵送」とアナログな手法を選択していた(有効回答数360)。
免税事業者から適格請求書発行事業者になるには、2023年3月31日までに最寄りの税務署へ登録申請を行い、登録番号の取得が欠かせない。さらに要件を満たしたインボイスの交付や保存、請求書形式の見直しや電子取り引きに関するデータ保存の義務化(2024年1月から)と煩雑な負担が生じる。
インボイスを受け取る企業側も、社内手続きの対応・見直しや記帳業務増、データと紙が混在する経費精算は経理部門の業務を大きくひっ迫することが予想される。
今回公開された請求書作成サービスは、発行者の氏名、取り引きの年月日や内容、金額(自動計算)、交付を受ける者の氏名または名称、軽減税率の対象である旨、税率ごとに合計した対価の額(自動計算)、税率ごとの消費税額、適用税率(自動計算)、登録番号を入力すれば、PDFのインボイスを作成できるという。インボイスの発行枚数が多くない小規模企業や個人事業主向けのサービスとしている。
インボイス制度は買い手となる課税事業者へ、「記載要件を満たしたインボイスの受領」「受領したインボイスの保存」「一定の事項を記載した帳簿の保存」を義務としている。
だが、免税事業者は現状維持か課税事業者になるか選択可能で、取り引きの相手が課税事業者かどうか分からない。
小泉氏は一例として、「たとえば業務で利用する個人タクシーに搭乗する際、『免税事業者? 課税事業者?』と聞く必要がある。今後は『インボイス希望』を明示して、適格請求書の項目を満たしているか確認が欠かせない」と日常も煩雑になると指摘した。