ソフトバンクが「ショートタイムワーク」を展開–障がい者らの就労を後押し
今回は「ソフトバンクが「ショートタイムワーク」を展開–障がい者らの就労を後押し」についてご紹介します。
関連ワード (D&Iで切り開く、企業の可能性、特集・解説等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
ソフトバンクは8月24日、同社が2016年から取り入れている働き方「ショートタイムワーク」について説明会を開催した。ショートタイムワークは、障がいや病気などの理由で長時間勤務が難しく働く機会が得られない人々を対象としており、週20時間未満から就労できる。
この働き方では、5~10人ほどの部署において業務担当者が自身の業務を明確化し、一部の業務をショートタイムワーカーに任せる(図1)。ショートタイムワーカーは自身の特性や経験を生かして働くことができ、受入部署では役割分担により生産性の向上が期待される。業務担当者とショートタイムワーカーが同じチームで働く点が特徴で、テレワークの際は両者をウェブカメラで常に接続している。これにより密なコミュニケーションが可能となり、理解の食い違い防止や任せる業務領域の拡大につなげているという。
一般的な採用では、人材に対して仕事を割り振る形だが、ショートタイムワークでは職務を事前に定義した上で、適切な人材を採用している。その結果、さまざまなスキルが求められる一般的な採用と異なり、語学力のみなど単一のスキルで活躍できるという。
また、従来の「障害者雇用率制度」では週20時間以上働ける人々を対象としているが、ショートタイムワークでは「短時間であれば働ける人々」に焦点を当て、既存の制度が適用されない人々の雇用を支援している。
ソフトバンクでは2022年2月時点で、20~50代の25人がアルバイトの形態で週4~18時間勤務しており、自閉症スペクトラムや統合失調症など発達や精神に障がいを持つ人々のほか、病気や子育て、介護などの理由で長時間勤務ができない人々も働いている。勤続期間は最長5年。
期間の上限を設けている点について、CSR本部 CSR企画統括部 CSR企画部 多様性推進課の横溝知美氏は「われわれは働く第一歩としてショートタイムワークを位置付けており、できるだけ多くの人に経験してもらいたいと考えている。5年という上限に焦る人もいるが、次のステップとして週20時間以上の就業を目指したり、学校に再び入ったりするケースもある」と説明した。
ショートタイムワーカーが働く部署は、営業や技術、システム、人事総務部門など多岐にわたり、2021年8月時点での累計勤務部署数は67部署に上る。代表的な業務として、人工知能(AI)の教師データを作成する「アノテーション業務」がある。この業務は、集中して遂行できる人が向いており、場所や時間に関係なく行えることから、ショートタイムワーカーとの親和性が高いという。ショートタイムワークでは職務を特定した上で人材を採用しているが、本人の実績によっては業務領域が拡大することもある。
ショートタイムワークは、ソフトバンクが提携する就労支援機関と社内の部署の間にCSR本部が入って運営されている。就労支援機関が応募者の紹介や採用された人々の支援を行い、CSRが受け入れを希望する部署の取りまとめや同機関の窓口を担っている。
ショートタイムワークにより、受入部署は生産性向上や障がいのある人々への理解、従業員のロイヤルティー向上、ショートタイムワーカーは働く機会の獲得やキャリア形成を実感しているという。
「われわれは、ショートタイムワークのような働き方が当たり前の選択肢になることを目指している。当事者が求人情報サイトなどで一つの選択肢として選ぶことができ、国や行政などが多様な働き方を後押しする社会にしていきたい」と横溝氏は語った。