IIJと村田製作所、東南アジア進出の日本企業にIoTデータ基盤サービスを提供

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 インターネットイニシアティブ(IIJ)と電子部品大手の村田製作所は10月4日、東南アジアに進出する日本企業向けにIoTデータの収集から利用までを支援する「グローバルIoTデータサービスプラットフォーム」を2023年夏に開始すると発表した。現地の複雑なデータ規制要件などに準拠した対応などに強みがあるという。

 新サービスは、村田製作所が東南アジアで展開しているIoTデータプラットフォーム「トラフィックカウンター」と、IIJの東南アジア地域におけるデータセンターやクラウドのビジネスを組み合わせて提供する。まずはインドネシア、マレーシア、タイ、ベトナムの4カ国を対象とし、これら地域で交通やエネルギー、物流、農業などの分野でIoT関連事業を展開する日本企業での利用を見込んでいる。

 同日記者会見した村田製作所 IoT事業推進部 プロジェクトマネージャーの津守弘晃氏によると、同社では数年前からトラフィックカウンターのサービスを提供。インドネシア政府の要請に基づいて同国の道路交通量に関するデータの収集、加工、可視化とダッシュボードの閲覧およびダウンロードの権利を同国政府に販売しているという。

 他方でIIJは、長年に渡って東南アジア各国で現地企業と連携しながら、各国の法規制や要件に対応した事業を展開してきた。今回は、村田製作所がトラフィックカウンターの事業を拡充する上でIIJの持つ現地での事業基盤を活用し、両社でデータプラットフォームサービスの事業化に向けて連携することが背景にあるという。

 グローバルIoTデータサービスプラットフォームでは、村田製作所が現地でデータを取得するセンサーやカメラなどのデバイスと技術、データ分析における解析やレポーティング、現地オペレーターによるデータ販売業務の支援などを担当し、収集したデータの処理(連携、加工、蓄積、可視化)に関する現地でのクラウドサービスおよび日本でデータを利用するための日本でのクラウドサービスならびにプラットフォーム利用での技術支援をIIJが担当する。また、両社でデータ収集のためのゲートウェイや無線通信などを提供する。

 IIJ IoTビジネス事業部長の岡田晋介氏によれば、今回のサービスではIoTデータを利用していくための技術的な基盤にとどまらず、現地および日本のリソースを活用して安全性や安定性の高いデータプラットフォームを運営する信頼や、地域ごとに異なる複雑な法規制などへの対応などをワンストップで提供できる点にあるとする。

 欧州の「一般データ保護規則」(GDPR)のように、データをその発生、収集、蓄積した場所から国外などへ移転(データの越境)させる際における法令や規制が世界中で整備、強化されつつあり、データ活用を目指す企業にとって、その対応作業は極めて大きな負担になっている。岡田氏によると、同社では現地企業と密に提携して各国の法規制にスムーズに対応できる体制を確立しているといい、新たに海外でデータを活用していきたい日本企業にとって、同じ日本企業が現地対応をサポートできる点に大きな特徴があるとアピールした。

 村田製作所の津守氏は、東南アジアのIoTデータビジネスには有望性があり、将来的に市場シェア1位、個人的な目標と前置きした上でシェア20%を獲得したいとの意気込みを表明した。同氏が引用したFrost & Sullivanの調査によれば、東南アジア諸国連合(ASEAN)におけるIoT市場では、年率15%成長と2026年に2億7820万ドル(約400兆円)の規模が見込まれており、今回のサービスでターゲットとする産業向けはこのうち72.1%を占める予想だという。

 岡田氏は、新しくIoTデータ活用を始める企業だけでなく、既に現地でデバイスなどを導入しておりデータプラットフォームを新規に利用する企業にも柔軟に対応していくという。また、データ処理などのPaaS機能や分析ツールなどについて当面は特定のソリューションを用意せず、必要に応じて個別にシステム構築を支援するなど、ユーザーが使いやすいソリューションを柔軟に導入できるようにするとしている。

 岡田氏は、2023年夏の提供開始までにより詳細なサービス内容や提供体制を整備していくと説明。既に一部組織と実導入に向けた調整を開始しており、IoTデータプラットフォームの具体的な用途例も示していくとした。

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