日本企業のDXは構想から推進段階に移行–ITR調査速報

今回は「日本企業のDXは構想から推進段階に移行–ITR調査速報」についてご紹介します。

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 アイ・ティ・アール(ITR)が国内企業を対象に実施している年次調査「国内IT投資動向調査」の最新結果の速報値によると、日本企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みが「推進」段階に入っていることが分かった。同社が10月6日に開催したカンファレンス「IT Trend 2022」で、プリンシパル・アナリストを務める三浦竜樹氏が明らかにした。

 この調査は2001年から毎年実施し、今回で22回目となる。8月19日~9月1日に、国内企業のIT戦略やIT投資の意思決定に関与する役職者にウェブでアンケートを行い、2172人から有効回答を得た。同社は、最終的な調査結果と考察を取りまとめた「国内IT投資動向調査報告書2023」を11月に刊行する予定だ。

 今回の調査では、昨今のDXがブームではなく企業の取り組みとして着実に進展している状況が判明した。回答企業における主要なIT動向の重要度上位10項目については、「全社的なデジタルビジネス戦略の策定」が前回調査と同じくトップだったほか、「デジタル人材」が前回の6位から今回は3位に、「デジタルマーケティング領域におけるIT部門の関与拡大」が8位から7位にそれぞれ上昇した。

 DXの位置付けと取り組み状況について直近3年の経年変化を見ると、「経営戦略の中でデジタル戦略のビジョンや方針が位置付けられている」とした企業は、前々回調査(2020年)が23%、前回が30%、今回が31%だった。「デジタル戦略遂行のための人材配備を行っている」とした企業は、前々回が30%、前回が29%、今回が35%だった。三浦氏は、「経営戦略におけるデジタルの位置付けは前回と今回でほぼ横ばいだった一方、推進人材の取り組みは上昇しており、企業のDXの取り組みが方針策定から推進体制に移行しつつある」と指摘している。

 また、DX推進体制を構築している企業も順調に増えている。専任組織がある企業の割合は2019年の15%から2022年には24%に増加し、既存部門が担当する割合も27%から33%に増えた。一方で、存在しないと回答した企業の割合は29%から20%に減少した。

 ただし、DXの取り組みにおいて成果にまで至るところはまだ少なかった。DXテーマ別の取り組みと成果の獲得の状況を見ると、取り組む割合が最も高いのは「ワークスタイル(働き方)の変革」の43%で、このうち成果が出ているのは21%だった。次に取り組む割合が高いのは「業務の自動化」の40%で、このうち成果が出ているのは21%だった。

 その他のテーマでも、成果が出ているとした企業は、取り組む企業全体の半数以下にとどまった。三浦氏は、「多くのDXのテーマにおける成果はこれからだが、顧客との関係性の強化が増加基調にあり、対社外に向けたDXの取り組みが今後の注力テーマになっていくだろう」と述べている。

 デジタル戦略を遂行する人材の配備では、現時点で半数近い企業が中途採用や新卒採用を行っているものの、次期方針では新卒採用より中途採用を検討する企業の方が多い。人事異動による対応としては、IT部門からデジタル推進部門に人材を異動させるよりも業務部門からデジタル推進部門に異動させている割合が高かった。なお、副業や兼業で人材を調達する企業は10%未満だった。

 企業全体の人員に占めるITスタッフの割合は、過去4回の調査では微減が続いていたが、今回の調査では微増に転じた。デジタルマーケティングやデータ分析などに携わるITスタッフが徐々に増えてきているという。

 IT部門の役割について現在および3~5年後の予想を見ると、システムの改善や安定稼働/障害監視、セキュリティ管理、コスト管理、ITベンダーとの交渉/製品選定といった従来の機能が中心となったままだが、3~5年後は現在よりも20%程度下がると予想する回答者が目立った。

 また、ビジネスモデルの開発やビジネスイノベーションの促進、商品・サービスのデジタル化など、DX関連領域をIT部門の役割と捉える回答は2割未満で、3~5年後に現在よりも役割が増すとの見方も微増にとどまった。「IT部門の役割が新しい領域に広がると考える回答者は少なく、強いて挙げるなら、ビジネスイノベーションの促進くらい」(三浦氏)という。

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