NTTデータとIIJのトップが語った「ガバメントクラウド」対策とは
今回は「NTTデータとIIJのトップが語った「ガバメントクラウド」対策とは」についてご紹介します。
関連ワード (松岡功の「今週の明言」、経営等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
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本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、NTTデータ 代表取締役社長の本間洋氏と、IIJ 代表取締役社長の勝栄二郎氏の発言を紹介する。
NTTデータは11月7日、2022年度(2023年3月期)上期(2022年4~9月)の決算と今後の業績見通しについて発表した。本間氏の冒頭の発言はその発表会見で、政府向けクラウド事業の取り組みについて述べたものである。
決算内容については同社のIRサイトをご覧いただくとして、ここでは会見の質疑応答で話題に上った政府向けクラウド事業を巡る動きに注目したい。
「ガバメントクラウドとして外資系4社のサービスが選ばれたが、その受け止めと、NTTデータとして政府向けクラウド事業を今後どのように進めていこうと考えているか」――会見の質疑応答でこんな質問が出た。
「ガバメントクラウド」とは、政府の情報システムを効率化するため、デジタル庁が整備し各府省庁などが共同利用するクラウドサービスのことだ。デジタル庁は10月、ガバメントクラウドとして、「Amazon Web Services(AWS)」「Microsoft Azure」「Google Cloud Platform(GCP)」「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」といった外資系4社のサービスを選定したと発表した。質問はこうした動きを踏まえたものだ。これに対し、本間氏は次のように答えた。
「当社では2021年2月より政府向けのクラウドサービス『OpenCanvas for Government』を提供しているが、デジタル庁が提示した今回のガバメントクラウドについては仕様の要件が合わなかったので提案しなかった」
同社によると、OpenCanvas for Governmentは「クラウドの特長であるコスト削減やアジリティーの向上、スケーラビリティー確保の要件から高い信頼性と可用性の要件まで幅広く対応することで、お客さまに最適なプラットフォームを提供できるクラウドサービス」とのことだ。これまで、主に金融機関向けに提供してきたOpenCanvasをベースにすることで、金融機関や他社のクラウドとの連携、先進的なデジタル技術を活用したマルチクラウドマネジメントサービス、お客さまの個別要件への柔軟な対応を可能にするとともに、社会基盤を支える政府情報システムに求められる高いセキュリティや運用品質を提供する」としている。
上記の説明で、本間氏の冒頭の発言につながるキーワードが、「マルチクラウドマネジメントサービス」だ。同氏によると、「実は、当社においては今回ガバメントクラウドに選定された4つのサービスについて全て手掛けており、既に相当の実績も上げている。しかもマルチクラウドとしてつなげるだけでなく、その利用環境全体に対して高い利便性のもとで統合管理を行えるようにも施している。こうした形で今後の政府向けクラウド事業に取り組んでいきたい」とのことだ。
印象的だったのは、この一件について話す本間氏の確固たる自信を秘めた表情だ。システムインテグレーターの代表格が、クラウドインテグレーターとしても力を発揮するか。注目していきたい。