コロナ禍を経て店舗とデジタルを融合したオムニチャネル化が加速–アドビ消費者動向調査
今回は「コロナ禍を経て店舗とデジタルを融合したオムニチャネル化が加速–アドビ消費者動向調査」についてご紹介します。
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アドビは11月21日、小売と銀行分野における商品購入とサービス利用に関する調査「Adobe Digital Survey 消費者動向調査 2022」を実施し、その結果を発表した。調査期間は2022年8月16~18日、小売分野のサンプル数は2472件、銀行分野は1236件。
これによると、コロナ禍前の2017年に実施した調査と比べて、商品購入前にオンラインで情報収集して購入する消費者が増えていることが分かった。また、コロナ禍が収束した後も55.3%の消費者が店舗で商品を見ながら買い物をしたと回答する中、店舗でロコミサイトやSNS、商品のメーカーサイト、レビューサイトなどを見ながら商品を検討する消費者が増えており、店舗とオンラインを融合したオム二チャネル化が加速していると分析する。
銀行サービスにおいては銀行を乗り換えた理由として「オンラインサービスが使いやすい、または便利だと思った」と回答した消費者が60%に上り、2017年よりもさらにインターネットサイトやアプリでのサービスの充実が求められていることが分かったとしている。
まずは小売分野について、調査結果を具体的に見ていくと、2017年の調査と比較して、商品購入前にウェブ/SNSで情報を収集する消費者が増え、マスメディアは大幅に下がった(図2)。「購入までに見聞きした媒体」としてウェブ/SNSは2017年と比較して洋服で10%増、家具で6%増、家電で6%増だった。
また、2017年と比較して店舗で商品を見ながら「その場で商品のメーカーサイトを見た」という人が3.7%増、「その場で商品に関するロコミサイトやSNSを見た」が1.8%増、「その場で商品に関する他のウェブサイトを見た」が1.6%増だった。
購入までに見聞きした媒体は、特に若年層において「YouTubeなどの動画サイト」「フリマアプリ」「Instagram、TwitterなどのSNS」が上位を占めた。「広告など一方的なコミュニケーションは見聞きされなくなってきている。マスメディアやダイレクトメールなども同様に参考にしない情報になっている」とアドビ DX GTM・ソリューションコンサルティング本部 マネージャー 兼 プロダクトエバンジェリストの安西敬介氏は語る。
消費者が商品を認知する媒体と実際に購入する場所については、「ウェブ認知からウェブ購入」(7.9%増)の増加率が高くなった一方、家具を筆頭に「ウェブ認知から店舗購入」(3.1%増)も増えている。また、「店舗認知からウェブ購入」(0.8%増)も増加しており(図5)、認知から購入に至る段階においてオンラインと店舗両方のチャネルを活用して購買するオム二チャネル化が加速していることが明らかになった。
商品購入をより快適にしてくれるサービスについては、店舗では「3次元(3D)で商品が確認できる」(23%)が最も高く、次いで「店舗での購入をベースにオンラインで商品をおすすめしてくれる」(21%)といったオンラインと店舗を横断したサービスが挙がった。
また、コロナ禍の米国で利用が拡大した「BOPIS」(Buy Online Pick-up In-Store:オンラインで購入して店舗で受け取り)やオンライン注文した商品を店舗の駐車場で受け取る「カーブサイトピックアップ」といった、オンラインと店舗のそれぞれのチャネルの特色をうまく捉えたサービスが今後の優れた顧客体験を提供する鍵になるとしている。
ECサイトでは「興味を持った製品に関する情報や画像・イメージを集めてきてくれるサービス」(22%)や「自分の好みに合ったコンテンツや商品を提案してくれるサービス」(15%)などが求められていることが分かった。
安西氏は、「レコメンドが鍵を握っている。店舗では在庫がない商品の確認やオンラインでの購買に基づいたレコメンドなど、デジタルも活用した体験が求められている。オンラインでも同様に、情報の絞り込みやレコメンドが求められている」と指摘する。