マイクロソフトやセールスフォースとPaaSで真っ向勝負に挑むサイボウズの思惑

今回は「マイクロソフトやセールスフォースとPaaSで真っ向勝負に挑むサイボウズの思惑」についてご紹介します。

関連ワード (CIO/経営、松岡功の一言もの申す等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 サイボウズがクラウドサービス「kintone」の事業強化に乗り出す。kintoneは今、ノーコード開発ツールとして注目されているが、今後はさまざまなSaaSの情報を一元的に処理できるPaaSとしての役割を拡充していく構えだ。同サービスはグローバルで事業展開していることから、MicrosoftやSalesforceといったPaaSの強豪と真っ向勝負する形になる。サイボウズの思惑とは――。

 「企業では今や、さまざまなSaaSが利用されるようになってきたが、一方でそれぞれが個別に存在してつながりのない“サイロ化”の状態が広がりつつある。この問題をkintoneで解決したい」

 サイボウズ 代表取締役社長の青野慶久氏は、同社が先頃開いたメディアラウンドテーブルで力を込めてこう語った(写真1)。

 青野氏はその思いについて、「このままだと、情報のサイロ化がますます進み、(SaaSごとの)“部分最適”にとどまってしまう」ことから、「さまざまなSaaSを一つのプラットフォーム上で使えるようにして情報共有を図り、システムとして“全体最適”を実現したい。kintoneをそのプラットフォーム(PaaS)として普及させていきたい」と説明した(図1)。

 具体的には、まずkintoneとグループウェアの中小企業向け「Office」および中堅・大規模組織向け「Garoon」、メール共有システム「Mailwise」といった既存の4つのサイボウズ製品をシームレスに連携・統合していく計画。さらに、パートナー企業が提供するSaaSもkintone上で製品化してもらうように促し、利用環境としてSaaSのサイロ化が起きないようにしていく構えだ。同社ではこうした新たな取り組みを「サイボウズNEXT」プロジェクトと呼んでおり、今秋以降に新機能を追加したサービスを順次提供していく予定だ。

 この取り組みの進め方について、青野氏は「SaaSのサイロ化の解決に向けて、まずはkintoneをベースに当社製品の連携・統合を進め、お客さまにその利便性を実感していただきたい。その上で、外部のさまざまなSaaSもkintone上で製品化してもらうことによって、情報共有をはじめとして利用環境のさらなる利便性を提供できるようにしていきたい」と説明した。

 すなわち、kintoneをさまざまなSaaSのプラットフォームにして全体最適に向けて利便性を追求し、そのSaaSマーケットプレイスを日本だけでなくグローバルに広げていこうというチャレンジだ。サイボウズNEXTとの命名にビッグプロジェクトとしての意気込みが伝わってくる動きである。

 ただ、現在多くの企業において利用されている代表的なSaaSといえば、「Microsoft 365」や「Salesforce CRM」が挙げられる。SaaSのサイロ化を解決するならば、これらのサービスとも連携する必要がある。とはいえ、これらのサービスを展開しているMicrosoftやSalesforceはPaaSも提供しており、その上に巨大なSaaSマーケットプレイスが既に出来上がっている。つまり、これからサイボウズがやろうとしていることを両社は既にグローバルで大規模に実現しているわけだ。

 そこで筆者は、「新たな取り組みはMicrosoftやSalesforceと真っ向勝負することになる。両社ともうまく連携して共存する関係を探っていくことは考えているか」と聞いてみた。すると、青野氏は次のように答えた。

 「戦っていくことになるだろう。少なくとも軍門に下るようなことは考えていない」

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