eBPFを用いたネットワーキングやセキュリティなど、AWS、Azure、Googleの3大クラウドが採用。Isovalentが明らかに
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クラウドネイティブな環境でeBPFを採用したネットワーキングやオブザーバビリティなどの機能を提供するオープンソースの「Cilium」を開発するIsovalentは、AWS、Microsoft Azure、Google Cloudの3大クラウドそれぞれのKubernetes環境でCiliumの採用が出揃ったことを、10月24日に米国ミシガン州デトロイトで行われたCloud Native eBPF Day NA 2022(KubeCon + CloudNativeCon NA 2022と同時開催)の基調講演で明らかにしました。
eBPFとは、Linuxカーネルのコードを変更することなく、カーネルの持つさまざまな機能をフックすることでカーネルに対してプログラマブルな機能拡張を実現する技術です。
CiliumはこのeBPFを用いた代表的なソフトウェアとして知られており、ネットワーキング、サービスメッシュ、オブザーバビリティ、セキュリティ監視などの機能を提供します。
Google、AWS、Azureが相次いで採用
eBPFは、約1年前の2021年8月にGoogle、Facebook、マイクロソフト、Netflix、Isovalentの5社によるeBPFの推進団体「eBPF Foundation」が発足した頃から急速に注目度が高まってきました。
参考:Google、Facebook、マイクロソフトらが、OSカーネルをプログラマブルに拡張できる「eBPF」の開発と発展を目指す「eBPF Foundation」を結成
一方で、Googleはその1年も前の2020年8月に、Google Kubernetes Engine(GKE)のデータプレーンV2でCiliumの採用を発表。eBPFによってKubernetesのノードに対してネットワークポリシーの設定、ロードバランシング、ロギング、メトリクスの取得などさまざまな機能を実装することを明らかにしていました。
その約1年後の2021年9月、今度はAWSがAmazon Elastic Kubernetes Service Anywhere(EKS Anywhre)でCiliumをデフォルトのネットワーキングとセキュリティ機能として採用することを発表しています。
ここでもGKEと同様にネットワークやセキュリティ、ログなどの実装をeBPFによって実現しています。
そしてそこからさらに約1年後の2022年10月、Microsoft AzureのAzure Kubernetes Service(AKS)のネットワークデータプレーンにCiliumの採用が発表されます。
AWS EKSやGKEでのCilium採用と同じく、AKSのノードを支えるカーネルに対してeBPFを用いてオーバーレイネットワークやポリシーの設定、ロードバランシングなどを提供します。
このAKSの発表によって、AWS、Google Cloud、Microsoft Azureの3大クラウドがKubernetes環境でeBPFを用いたCiliumの採用が出揃ったことになるわけです。
Isovalentは、クラウドネイティブなデータ可視化ツール「Grafana」などの開発元であるGrafana Labsとの提携も今月になって発表しており、クラウドネイティブな環境においてeBPFベースの強力な可観測性を持つCiliumと、さまざまなメトリクスを可視化するGrafanaの連携や統合を推進していくとしています。
参考:GrafanaとCiliumが戦略的提携。eBPFベースの強力な可観測性のCiliumとGrafanaの統合を推進
今年はeBPFにとって、注目度が大幅に高まった1年になりましたが、その裏で実装面でも着実に採用が広がっていたわけです。eBPFが単なるバズワードやブームではないことを明確にした年だったともいえそうです。