VCマネーの2%しか女性起業家に注がれない–VC立ち上げから5年、セリーナ・ウィリアムズ氏の挑戦
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「パワーテニス」というプレースタイル、人種や性別などのダイバーシティ――。プロテニスプレーヤーとして活躍したSerena Williams(セリーナ・ウィリアムズ)氏がスポーツ界にもたらした影響は大きい。獲得した賞金は9481万ドル。女子テニス協会(WTA)では、ランキング2位の姉Venus Williams(ビーナス・ウィリアムズ)氏に2倍以上の差をつけて歴代トップに輝く。
そのWilliams氏が2022年11月、米サンフランシスコでOktaが開催したイベントに登場し、キャリアやダイバーシティーなどについて語った。
3回戦敗退後に引退を示唆した2022年9月の全米オープンから2カ月。Williams氏はゆっくりした足どりで舞台に登場し、用意された席に腰を下ろした。「やっと深呼吸できる」とWilliams氏は微笑む。「いろいろなことをキャッチアップするのに6週間ぐらいかかった。今はとてもいい気分」。
同氏は5人姉妹の末っ子で、姉のVenus Williams氏もテニス選手だ。1995年のデビュー以来、常にコートで戦ってきたSerena Wiliams氏だが、実は「S by Serena」などのアパレル事業を営む経営者であり、ベンチャーキャピタル(VC)のSerena Venturesを展開する投資家の顔も持つ。さらには、5歳の女の子の母親でもある。
「落ち着くにはちょうどいいタイミングだった。ビジネスに集中できる」とWilliams氏は現在のテニスとの距離を説明する。
一方で、キャリアを変えることは簡単ではない。最初の記憶がテニスというWilliams氏にとって、テニスのない人生は考えられないはず。引退示唆については、「楽しみでもあれば神経質にもなっていた。(引退を示唆する)記事が出る2日前まで、近い人にすら話していなかった」という。
この日、Williams氏はベンチャー投資を中心に話した。Serena Venturesを立ち上げたのは2017年。2022年3月に1億1100万ドルを調達しており、現在のポートフォリオには約60社が名を連ねる。それ以前にも、エンジェル投資家としての投資経験はあった。だが、あえてVCを立ち上げた背景には、ベンチャー投資界の男性優位に対する驚きがあったようだ。
「VCによる投資金額の2%しか女性投資家に行かないと聞いて、耳を疑った。年間数百、数千億ドルが注がれているのに、2%とはどういうこと?と驚いた」とWilliams氏。「それなら逆算して、VCに取り組もうと思った。2%を変える唯一の方法は、小切手を切る(投資をする)人を変えるしかない」。女性が優秀な女性に投資することで、2%を変えていくというWilliams氏の企みだ。
「女性、有色の投資家が増えれば、多様性が生まれる。試合の流れを変えるために、鎖の上の部分から変えようとしている」「無意識の偏見(アンコンシャスバイアス)を抜け出して、素晴らしいアイディアを持っている人に投資する。これをSerena Venturesでやっていく」