新春メッセージで先人の「経営の心得」を強調したNEC社長の覚悟とは
今回は「新春メッセージで先人の「経営の心得」を強調したNEC社長の覚悟とは」についてご紹介します。
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本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、NEC 代表取締役 執行役員社長 兼 CEOの森田隆之氏と、Celonis日本法人 代表取締役社長の村瀬将思氏の発言を紹介する。
NECの森田氏は1月4日に発信した2023年新春メッセージの中で上記のように述べた。同氏いわく「この言葉は『Computers & Communications(C&C:コンピュータと通信の融合)』を提唱し、NECの第二の創業を主導した小林宏治元会長の『経営の心得10箇条』の一つ」だ。ここではこの言葉を「明言」として改めて取り上げたい。
森田氏は新春メッセージの中でこの言葉について、「激変する世の中にあって、小林元会長のこの言葉の重要性を痛感する。自ら変わることを恐れずに、確かな実行力と目に見える結果を出してこそ、社会に対して価値を示すことができる」と述べた上で、「私たちNECグループは、2023年も変革の歩みを止めることなく一丸となって前進していきたい」と決意を新たにした。
筆者はこれまでおよそ40年にわたってNECを取材してきたが、小林氏の「経営の心得10箇条」については取材したことがなかったので、この機会に調べてみたところ、以下のような内容だ。
1980年代、小林氏には幾度かお会いしたことがあるが、その時の印象と同様、この10箇条には「威厳」と「繊細さ」を感じる。3つ目に記されているのが、今回の明言だ。
小林氏の功績について、筆者の著書「新企業集団 NECグループ(日本実業出版社:1996年発行)」から抜粋して紹介しておこう。
「小林の功績は社長就任後、まず社内の徹底的な改革を狙いとして、1965年に完全事業部制を導入したことだ。当時のNECの実態はいわゆる電電ファミリーの一社として、日本電信電話公社(現在のNTT)の製造部門同然であった。その電電公社依存のぬるま湯体質を転換しようと導入したのが、技術、製造、営業の三機能を合わせ持たせた新事業部制である。小林はこの事業部を会社の利益単位として、抜本的な意識改革を推進していったのである。さらに事業面でもコンピュータや半導体に積極的に進出し、今日のNEC発展の礎を築いた」(敬称略)
森田氏の今回のメッセージには、当時の小林氏と同様、覚悟を持って変革に挑む思いが込められているのだろう。