エンジニアの客観的な評価に貢献–「New Relic」を導入したディップ

今回は「エンジニアの客観的な評価に貢献–「New Relic」を導入したディップ」についてご紹介します。

関連ワード (事例等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 デジタルビジネスの各種課題をオブザーバビリティー((可観測性)で解決する「New Relic」がエンジニア(技術者)の間で話題になっている。クラウドベースの観測基盤として各種SaaSやIaaSからデータを取得して、運用障害が発生する以前のデータ分析や迅速な障害対応を可能にし、エンジニアの能力評価軸に新たな要素を加えるからだ。

 「バイトル」「はたらこねっと」などの人材サービスとデジタルトランスフォーメーション(DX)サービスの「コボット」シリーズを展開するディップは、労働市場における諸課題を解決し、誰もが働く喜びと幸せを感じられる社会の実現を目指す“Labor force solution company”をビジョンに掲げる。同社は、New Relicの導入を通じて、人事面の有用性も得られたと説明している。

 それまでのディップは3つの課題を抱えていた。一つはインシデント発生時の人的資源。「システム全体の監視が難しく、エンジニアの監視・調査が日常業務になっていた」と同社で商品開発本部 システム統括部 バイトルエンジニアリング部 部長を務める五月女直樹氏は述べる。日々の監視業務に追いかけられる、”木こりのジレンマ”状態である。

 もう一つは監視ツールの費用。自社サービスの機能強化によって測定すべきメトリクスが増え、そのための各種ログデータの量が増大することから、監視ツールに対する費用増の懸念もあった。最後は社内に監視ツールが浸透していない状況。五月女氏は「エンジニアが利用する状態に至っていない。ツール浸透の支援も必要だった」と振り返る。

 2021年に発表した中期経営計画「dip2025」でディップは、SDGs(持続可能な開発目標)を基にした新規事業の立ち上げや、既存人材サービス&DXサービスの強化を掲げ、開発・運営部門の対応も喫緊の課題だった。

 同社は複数の監視ツールを試したものの、「要件を満たさないツールやコスト面の問題があった。New Relicならボトルネック解消による速度改善やコミュニケーションコストが削減できる」(五月女氏)との理由から2022年8月の検証期間、2022年9月の社内承認を経て、New Relicをエンジニア組織全体へ導入している。「従来はサーバーからログデータをダウンロードして調査していたが、New Relic導入後はGUIから短時間でボトルネック部分を発見できる」と五月女氏は評した。

 同社で執行役員 最高技術責任者(CTO)兼 商品開発本部システム統括部長を務める豊濱吉庸氏も「ログ調査は重要な作業ながらもスキルとしては10〜20年前の話」とし、「エンジニアはプロダクトの開発・改善に100%集中して、障害対応に時間をかけるべきではない。複数あったツールから3つに絞り込み、New Relicが一番良かった」と導入経緯を説明した。

 障害対応を主とする保守系エンジニアの人事評価は難しいが、同社はNew Relicによる可視化が客観的な評価につながるとも述べている。

 一般的な監視ツールは障害発生時にアラートを発するが、New Relicは事前に作成したしきい値や諸条件に対して各種アラートを発するため、企業が求めるタイミングで対応可能。この点についても「(エンジニアの)アラート対応と継続的なデータ監視はアプローチが抜本的に異なり、(New Relic導入で)データに対する考え方の変化や、より良いサービスを素早く開発する活動を期待している」(豊濱氏)という。

 現場でも「各プロダクトのエンジニア一人一人が積極的なボトムアップ活動に努めている。調査作業の改善やシステム貢献度の可視化は(New Relicの)大きな効果だ。障害発生時の調査依頼(に擁する手間)やミーティングも50%削減」(五月女氏)させた。

 現在ディップは100超のNew Relicアカウントを契約し、「Slack」チャネル経由でNew Relicからのサポートを受ける積極的な支援体制を構築した。2023年9月までにNew Relicを6種類の人材サービスに展開して「効率的な開発体験と次のステップ」(豊濱氏)を目指しながら、ログに関して30〜50%程度の費用軽減を見込んでいる。

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