3年で進んだヤマト運輸のデータドリブンな組織運営(後編)
今回は「3年で進んだヤマト運輸のデータドリブンな組織運営(後編)」についてご紹介します。
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ヤマトホールディングス(HD)傘下のヤマト運輸では、次の100年を見据えた経営構造改革の柱の一つとして「データ・ドリブン経営への転換」を掲げ、新たに4階層の組織を発足させている(前編)。後編では、同社がデータドリブン経営を進めるためのデータ活用の民主化を進める取り組みと、この3年で達成した成果および今後の方向性について紹介する。
ヤマトHDのデータドリブンを推進するチームは、外部人材を採用し、ゼロベースから組織を構築している。同組織を統括するヤマト運輸の執行役員で輸配送データ活用推進担当の中林紀彦氏は、グループの経営構造改革プラン「YAMATO NEXT 100」で掲げた「データ・ドリブン経営への転換」を図るために5つのデータ戦略を設定した。デジタル組織はCenter of Excellence(センターオブエクセレンス、CoE)の形でデジタル人材を集約する組織を設計し、基本的に外部から採用した。
優秀なデジタル人材を外から採用するために、雇用に関しても人事制度を工夫している。デジタル組織では、メンバーシップ型とジョブ型のハイブリッドな人事制度になっているという。デジタル人材をエキスパート職と定義して、レベルが高い人材の確保に努めつつ、外部パートナーの支援も受けながら組織作りを進めていった。
その結果、現在は数十人のデジタル人材を確保しているという。実際の人員構成は、外部から採用したデジタル人材に加えて、ヤマトグループ内部から起用したデジタル人材や社内のオペレーションを理解し事業部門との橋渡し役になれる人材で構成されている。人材育成に関しては、データサイエンティストなどのデジタル人材のスキルアップと事業部門の人材が新規事業開発やオペレーションの効率化につながるデータ活用や理解度の向上の両輪で行っているという。
「デジタル人材を事業部門に送り出しながら、事業部門の中でデータを活用したオペレーションが回せるような活動にしています。データに関するスキルを保有した人材の配置や教育プログラム『Yamato Digital Academy(ヤマトデジタルアカデミー)』を提供し、成熟度を上げていってデータを活用できる土台をしっかり作っていきたいと考えています」(中林氏)
Yamato Digital Academyの狙いは、データサイエンティストなどのデジタル人材の育成のみではなく、データを活用する側の人材育成にもある。データドリブン経営への転換をけん引する経営層や事業部門のリーダー、ヤマト運輸の各主管支店のスタッフに対しても講座を用意して、データ活用人材の育成と“データ活用の民主化”を進めている。
「まずは事業部門のデータ活用のスキルの成熟度を向上させていくことが大切です。データドリブンを推進するチームを組織し、デジタル人材を集めるだけではデータを活用した新規事業開発やオペレーションの効率化は進みません。ビジネスを生む事業部門でもデータに対する理解度を高める必要があり、現在、年間数百人単位で事業部門のデータ活用人材を育成しています」(中林氏)