クラウド利用が環境に与える影響–再生可能エネルギーや電力効率への各社対策

今回は「クラウド利用が環境に与える影響–再生可能エネルギーや電力効率への各社対策」についてご紹介します。

関連ワード (CIO/経営、テクノロジーとサステナブルな未来等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 「クラウド」なしで現代生活を送るのは難しい。日々の仕事はデジタル化が進んでおり、遠方のサーバーファームでホストされたツールやサービスによってサポートされている。クラウドとは結局のところ、誰かのコンピューター(またはサーバー)でしかない。

 確かに、クラウドによって非常に低いカーボンフットプリントが実現し、燃料を燃やして移動しなくても多くのことを成し遂げられる。たとえば、自宅での仕事や、効率的な移動による交通渋滞の回避が可能だ。その一方で、忘れがちだが、大量のデジタルアクティビティーを伴うデータセンターが二酸化炭素を排出するため、クラウド自体にもカーボンフットプリントがある。

 「突き詰めていくと、インターネットはデータセンターで稼働しており、運用の観点から見ると、データセンターはエネルギーで稼働している」。Googleのクリーンエネルギーおよび炭素開発の責任者であるMaud Texier氏は米ZDNETにこう語った。「したがって、誰かがクラウドを使うとき、電子メールを作成するとき、そして新しいものを作り出すときの温室効果ガスの主な排出源は、データセンターだ」

 クラウドがどの程度環境に優しいのかを判定する前に、「クラウド」とは具体的に何なのかを再考することには価値がある。このやや謎めいた技術用語は単に、インターネット経由で提供されるコンピューティングサービスを指している。その定義に当てはまるものは非常に多く、InstagramやGoogle検索などのアプリケーションから、処理能力やデータストレージといった基盤のコンピューティングサービスまで、多岐にわたる。企業は自社のデジタルオペレーションを自前のサーバー(通常はオンプレミスのデータセンター内にある)で管理するか、Google Cloud、Amazon Web Services、Microsoft Azureなどのクラウドプロバイダーで管理するかを決めることができる。

 過去20年間におけるデジタル経済の爆発的な拡大を考えると、クラウドのカーボンフットプリントも急増したと思ってしまいがちだ。幸い、実際にはそうはなっていない。

 2020年に発表された調査によると、データセンターのコンピューティング出力は2010年から2018年の間に550%増加したという。しかし、これらのデータセンターによるエネルギー消費量の増加はわずか6%だった。2018年の時点でデータセンターが消費していたのは世界の電力出力の約1%だ。

 テクノロジー業界は、エネルギー効率の大幅な改善や、その他のさまざまな戦略的措置の実施によって、エネルギー消費の要件をうまく抑制してきた。

 クラウドへの移行は、巨大な規模で進んでいる。クラウドに保存される企業データの割合は、2015年の30%から2022年には60%に急拡大した。

 だが、大半の組織は運用の持続可能性を高める措置を講じていない。こう指摘するのは、Gartnerのインフラストラクチャークラウド戦略チームのリサーチディレクターMiguel Angel Borrega氏だ。

 「持続可能性よりさらに重要な他の変数がある」と同氏は米ZDNETに語り、その例としてコスト削減のほか、GoogleやMicrosoftといった最先端のイノベーターによる最新のテクノロジーを活用する能力を挙げた。とはいえ、持続可能性も最終的には明白な利益をもたらす。

 「ガス排出、エネルギー効率、水効率、そしてITインフラストラクチャーの効率的な使用方法を比較すれば、クラウドに移行した方が良いことが分かる」(Borrega氏)

 サービスプロバイダーの方がより効率的な運用が可能であることの主な理由の1つは、インフラストラクチャーがより新しくて効率的であることだ、と同氏は語る。既存の企業データセンターの多くは30~40年前のものなので、近年のエネルギー効率の進歩を活用することができない。

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