全体アーキテクチャー構想が開くDXの扉
今回は「全体アーキテクチャー構想が開くDXの扉」についてご紹介します。
関連ワード (CIO/経営、これからのDXプロジェクト、実践的手法と意義等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
ビジネス環境の不確実性が高まる中で、多くの企業はデジタルトランスフォーメーション(DX)の必要性を強く認識している。しかし、いざそれを実践に移すためにはデジタル技術の選定・導入から組織やカルチャーの変革までさまざまな課題を乗り越えていかなければならない。その際に、個別のデジタル技術やツールに着目して導入を進めていくのは危険だ。確かにスモールスタートは重要であるが、まずは大きく全体を描いた上で個別のコンポーネントを検討することが重要である。
第1回では、ERPを含む基幹システムの更改を迅速に実現した方法論について、Ridgelinezでの事例を交えて解説した。第2回となる今回は、全体アーキテクチャー構想について、DXコンサルティング企業であるRidgelinezの実践知を交えて紹介する。
DXに向けた取り組みではさまざまな視点が求められる。中長期的な視座でブループリントやロードマップを描いてあるべき姿を明らかにすることも大事であり、業務の現場の短期的な課題にも目を向けなければならない。そこでは、経営層はもちろん現場層まで全社が一丸となって取り組みを進める必要があるだろう。DXプロジェクトの中心となる推進部門の担当者自身も、いわゆる「DX人材」としてのスキルを身につけなければならない。
Ridgelinezは、戦略からエコシステム構築までエンドツーエンドのコンサルティングを行っており、DX実現のための企業の課題に向き合いながら、経営層から現場層まで支援を行ってきた。クライアントと長期的な関係を築きながら「伴走者」としてサービスを展開しているが、その中で、昨今の日本企業において、ある構造的な問題が深刻化していると感じている。それが組織間や組織内の分断である。例えば、「事業会社(ユーザー企業)とIT企業(ベンダー企業)の過度な役割分担」や、「事業(業務)部門とIT部門(情報システム部門)の対立」といったものだ。
この構造によって生じる具体的な問題が3つある。
アーキテクチャー構想・設計と実装、運用が分断されるため、フェーズを連携させるための余計な時間やコストがかかってしまう。また、構想通りのシステム構築ができないケースが多い。
システムのあるべき姿を考えるとき、個別のシステム内の視点に限定されてしまい、業務を横断した理想像を描きにくくなってしまう。そのため、人事部は人事向けのSaaS、購買部は購買向けのSaaSをバラバラに導入してしまって、それで終わるという極小スコープでのシステム構築に陥りやすい。
システム構築と企画構想する組織がサイロ化され、組織間の壁が相互理解を阻むことになる。そのため最新テクノロジーの価値を取り入れたプロセス設計や革新的なアイデアの融合ができずにいる。
これらを整理したのが下図だ。これを見て「自社でも思い当たることがある」と感じる方もいるだろう。