ServiceNow Japan、プラットフォームベンダーとしての地位を確立–2023年度事業戦略
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ServiceNow Japanは3月23日、事業戦略説明会を開催した。同社は1月に米本社直轄の組織に昇格し、同月に執行役員社長に就任した鈴木正敏氏が登壇。ServiceNowにとって最重要市場に位置付けられる日本市場への投資について説明した。
冒頭、鈴木氏は社長就任について「グローバルの最新のテクノロジーを持って、日本の顧客にいかに貢献するのかを考えてきた。(鈴木氏の経歴として)日本オラクルやSAPジャパン、シマンテック、UiPathとさまざまなフェーズを経験してきたが、今後5年10年でどのソリューションやテクノロジーが日本の顧客に貢献できるかを考えたときに、ServiceNowだと確信した。就任して2カ月、既にさまざまなことを経験したが、それはさらなる確信に変わった」と意気込みを語った。
1月末に発表したServiceNowの2022年度の決算は、全体売上が72億4500万ドル(約9400億円)で大きく成長しており、2017年から2022年の年平均成長率(CAGR)は32%と成長を維持している。これを支えるのが98%の契約更新率だという。また、年間で100万ドル以上のサブスクリプション投資をする顧客は、2021年時点で2017年から約3倍以上に増加。これは、全社的にServiceNowの製品を利用する顧客が増えたことに起因しているという。
広範囲に及ぶ製品を提供する同社では、新規売り上げのうち、40%以上が非IT領域となっている。同氏は「このような結果からServiceNowがITサービス管理(ITSM)のベンダーではなく、広範な製品を保有したプラットフォームベンダーになっている」と説明した。
日本におけるビジネスも堅調に拡大しており、2022年度においては「IT領域だけでなく、従業員体験/顧客体験(EX/CX)に資する領域のソリューションの拡大」「ServiceNowをプラット―フォームとして活用することによる大型契約の増加」「幅広い業種や業態での新規顧客の獲得」――の3つが売り上げ増加の理由に挙げられるという。ほかにも、グローバルに展開する日本パートナーとの協業加速や、「ServiceNow Impact」のローンチ、本格的なブランディング投資による認知度の向上、「ServiceNowコミュニティ」の継続的な拡大が成長につながったと振り返った。
また、ServiceNow Japanがグローバル直轄の組織になったことで、「事業運営をする上で本社との連携がしやすくなり、顧客やパートナーの声を本社や開発部門と共有し、日本の顧客への貢献ができる」というメリットがあると説明した。同社は、日本が同社のビジネスにおいて成長の余地を持つ最重要な市場と位置付けており、日本市場への展望として10億ドル(約1300億円)のビジネス規模を目指すとしている。
その中の一つの取り組みとして、パートナーとのエコシステムの成長を促進する新たな戦略的Go To Market(GTM)施策「ServiceNow Ecosystem Ventures」を設立。これは、対象地域において、サービス企業の成⻑を加速させるための専⽤ファンドを設立するというもの。ベンチャー企業だけでなく既存のサービスプロバイダーパートナーも含め、さまざまな可能性を視野に検討を進めていくとしている。取り組みとしては、アライアンスパートナーとの共同GTMによるビジネス成長の共有や、2万人超えのエンジニアの育成による活力あるエコシステムの創出、そしてジャパンファーストの製品ローカライズ戦略をグローバルで推進していく。
ServiceNow Japanの2023年度における事業方針は(1)インダストリービジネスの拡大、(2)プラットフォームカンパニーへの進化、(3)パートナーエコシステムのさらなる拡大と強化、(4)ビジネス効果最大化に向けた提案の推進、(5)新規顧客獲得の継続的な推進――の5つを掲げている。同説明会では、(1)と(2)の具体的な施策を紹介した。
まず(1)インダストリービジネスの拡大では、通信・サービスプロバイダーを中心に、今後3年間で製造や金融サービス、公共サービス領域への展開を推進するという。各業種や領域に資する営業体制の強化やスペシャリストの配置拡大、またインダストリー特化型製品のローカライズを加速するとともに、日本独自の法規制やガバメントクラウドへの対応を継続的に行う。また、製造をはじめグローバルにおいてベストプラクティスが多くあるため、積極的に顧客へ展開するという。
(2)プラットフォームカンパニーへの進化では、日本におけるプラットフォームベンダーとしての地位を確立する。ServiceNowをIT部門だけでなく、全社的に活用することで効果を獲得できるため、ITの意思決定を行うエグゼクティブ層に対するServiceNowの価値訴求をしていくという。また、新規顧客の開拓やパートナーの業界特性を踏まえ、共に新しい価値を創造する「Co-creation」という取り組みも日本で進めたいとしている。
同社の事業拡大に向けた重点投資のポイントとして、鈴木氏は「For Our Community」「For Our Market」「For Our People」の3つの側面から説明。コミュニティーでは、同社が主催する経営幹部層(CxO)向けの招待制コミュニティー「CxO Club」の拡充とCxOネットワーキングの強化を行う。これに対して同氏は、「ITが経営と表裏一体となる中、当社はSoE(System of Engagement:顧客関係などにまつわるITシステム)のトッププレイヤーとして戦略を進めている。今後を見据えたときに日本の顧客がデジタルで競争力を付けるためには、SoE領域がきわめて重要になると考えている」と述べた。ほかにも「ServiceNow ユーザーグループ」(SNUG)とディベロッパーコミュニティーの強化も行う。
また、デジタル人材の育成や雇用創成にも注力する。大学などの教育機関との連携も行い、インターンシップとして学生を受け入れてServiceNowの技術を習得したのち、パートナー企業に紹介。そこでインターンシップや就職につなげるといった若い年齢の育成や、シニア人材の育成/再活用にもつなげていくとしている。
マーケットでは、ServiceNow Ecosystem Ventureを活⽤したベンチャーエコシステムへの投資やパートナーとの共同GTM、ソリューション共創を推進する。さらに、パートナーと共同でのServiceNowスキル人材の育成も強化していくという。
人的資源に対するコミットメントとしては、日本における採用の積極的かつ継続的な実施を行う。また、日本に根ざした従業員の能力開発の強化やキャリア形成の支援。そして従業員の生産性を向上させるような環境を提供していくという。
同氏は最後に「ServiceNowのグローバルの総力を結集して、日本市場への投資拡大を加速し、日本顧客の主たるDXパートナーとして日本のデジタル化に貢献していくことがわれわれのコミットメントだ」と締めくくった。