マルチクラウドの課題–グローバルは「管理」、日本は「セキュリティ」
今回は「マルチクラウドの課題–グローバルは「管理」、日本は「セキュリティ」」についてご紹介します。
関連ワード (クラウド等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
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日本オラクルは3月23日、米本社が調査した「Multicloud in The Mainstream(主流となるマルチクラウド)」をもとにグローバルと日本のマルチクラウド利用動向を紹介した。調査対象である1500人が所属する企業の98%がマルチクラウドを利用している。
日本オラクル 常務執行役員 クラウド事業統括 竹爪慎治氏は調査結果を踏まえて「顧客に最適なクラウドベンダーの組み合わせに連携したサービスの提供とコスト最適化、シームレスなプラットフォーム化、データドリブンでクラウド活用を実現」させる国内戦略を明言した。
Multicloud in The Mainstreamは北米1000人以上、日本を含む各地域500人以上の従業員を有する企業を対象とし、合計1500人に組織内のクラウド利用方法を調査したレポートである。2022年第3四半期に実施。概要はウェブページから参照できる。
前述の通り、98%がマルチクラウドを導入済み(導入予定を含む)と回答。83%がマルチクラウド相互接続を導入済み(同)。97%がクラウド管理プラットフォームを使用中(使用予定を含む)で、96%が複数のSaaSを使用中(同)である。使用中、もしくは使用予定のパブリッククラウド数は63%の国内企業(グローバルは67%)が「2~3」と回答し、グローバルと大差はなかった。だが、SaaS利用数は「5~9」と回答した国内企業が35%(グローバルは31%)で最多だが、グローバル企業の「2~4」が51%で最多となっている。
企業がマルチクラウドを推進する理由として、グローバル企業は「データ主権と場所」(41%)や「コスト最適化」(40%)を上位に掲げる。国内企業は44%の「コスト最適化」が最上位。次に「データ主権と場所」(33%)、以下は「ビジネス革新&俊敏性」、「クラウド活用の最適化」、「規制対応」が並ぶ(いずれも28%)。
日本オラクル 事業戦略統括 事業開発本部 本部長 佐藤裕之氏は「例えば、インドはデータ主権がマルチクラウド利用のモチベーション」だと国々の相違点を解説した。
だが、マルチクラウドの利用には障壁となる課題があるという。
マルチクラウド利用で障壁となるものについて、グローバル企業は「クラウド・プロバイダー管理」(33.7%)、「ネットワークの相互接続」(29.5%)、「データ管理の課題」(24%)が上位回答。日本企業の場合、「クラウド間のセキュリティ担保」(38.5%)が最上位となり、「ネットワークの相互接続」は33.3%、「クラウド・プロバイダー管理」は30.8%と回答が大きく異なる。「日本(企業)はシビアにセキュリティに取り組む方が多い」(佐藤氏)
マルチクラウドで現在重視しているものとしては、グローバル企業は「クラウド環境間のコスト最適化」(22.7%)、国内企業は「開発の選択支持」(23.1%)がトップに並ぶ。将来重視するものとしては、グローバル企業は「データ冗長性やバックアップ」(53.7%)、国内企業も61.5%が同様の回答を寄せている。
現在プライマリーとして利用しているIaaS/PaaSで稼働しているワークロードの種類をみると、グローバル企業は「顧客情報管理(CRM)」(50.1%)や「ITシステムの監視・管理機能」(49.9%)、「データ処理や分析、BI用途」(46.7%)が上位に並んだ。日本企業は「ITシステムの監視」「低遅延なアプリケーション利用」「従業員の生産性向上」「企業資源管理」がいずれも51.3%となっている。
「業種ごとの相違がある。金融業界はデータ処理、通信業界はデータ分析の割合が高い」(佐藤氏)
プライマリーのパブリッククラウドを選択した要因は、グローバル企業は「ブランドイメージや評判」(27%)、「技術サポートや専門性」(26%)、「サービス実績」(25%)が上位に並ぶ。国内企業は「サービス実績」や「地理的な活動足跡」(いずれも29%)と「日本らしい実績・事例を持つクラウドベンダーを使う」(佐藤氏)傾向が見られた。
このようにマルチクラウド利用は当然のようになりつつも、異なるパブリッククラウド間でデータと情報をルーティングするための“相互接続”を課題とする企業は少なくない。相互接続を「現在使用中」のグローバル企業は40%、「1~2年内に運用を開始」する企業は25%を数えた。国内企業も49%が「現在使用中」で、26%が近々の運用を予定している。
当然ながらマルチクラウド管理プラットフォームへの期待は少なくない。この数年は各クラウドベンダーが自社あるいは他社のクラウド環境を一括して管理するサービスの提供を開始した。
それでも、多くの企業はコストを理由に、オンプレミスとパブリッククラウドを連携させたハイブリッドクラウドの利用を継続している(グローバル54%、国内50%)。
現在、日本オラクルは米本社が2022年12月に発表した、金融機関や通信事業者などがカスタマイズして運用してユーザー企業に提供するOracle Cloudである「Oracle Alloy」の刷新を踏まえて、Microsoft Azureと自社のデータベース(DB)サービスを連携させる「Oracle Database Service for Azure」などIaaS「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」を推進している。
「AzureのポータルからDBサービスを自動設定可能な迅速導入や、リージョン間を低レイテンシーでつなぐ(サービスの)無償提供。そして、Exadata Database Serviceをはじめとする各サービスが利用でき、機械学習など顧客の用途に合わせてDBを利用できる」(竹爪氏)