「オープンであることが成功の秘訣」–SUSE、エッジ分野での組み解説

今回は「「オープンであることが成功の秘訣」–SUSE、エッジ分野での組み解説」についてご紹介します。

関連ワード (ソフトウェア等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 SUSEソフトウェアソリューションズジャパンは、エッジソリューションに関するラウンドテーブルを開催した。

 概要を説明したソリューション統括本部 プリンシパル・ソリューションズ・アーキテクトの志方公一氏は、「SUSEは1992年にLinuxを初めて商用で提供し始めた会社」だと紹介。長い歴史を誇り、グローバルでビジネスを展開している一方で「日本での知名度はあまりない」ことにも触れつつ、「完全なオープンソースの会社として、さまざまなベンダーと一緒になってユーザー企業を支え、発展を支える。オープンであることがイノベーションを加速させる」と語った。

 今回のテーマとなったエッジコンピューティングに関しては、製造業などをはじめとする日本の産業分野で大きなポテンシャルがあると見込まれており、調査会社のレポートでは2023年の日本のエッジ市場の規模が約1兆4000億円(97億ドル)、2027年には約2兆4000億円(167億ドル)へと年率約14%程度の成長が予測されていることを紹介し、同社としてもこの領域でビジネスを成長させるとともに、ユーザー企業をしっかりとサポートしたいとの意気込みを示した。

 続いて、SUSEでビジネス部門におけるエッジコンピューティングのゼネラルマネージャーを務めるKeith Basil(キース・バジル)氏が、SUSEのエッジ領域での取り組みについて説明した。Basil氏は同社が考える「Edge」の定義について「クラウドデータセンターの外側は全てエッジという考え方もできるが、われわれはさらに『Near Edge』『Far Edge』『Tiny Edge』の3層に分割して考えている」とした。実際のユースケースを踏まえ、クラウドデータセンターを基準に近い側からより遠い側へと分類したものだ。

 Near Edgeでは主に通信事業者を想定しており、例えば5Gの基地局設備のようなシステムが該当する。こうしたシステムでは現在ではコモディティー化されたハードウェアを使い、さまざまな機能を実現するソフトウェアを組み合わせて実現するのが一般的となっており、Linuxとさまざまなオープンソースソフトウェアが活用されている。

 Far Edgeは、通信インフラ以外の工場などの現場で利用されるイメージだろうか。Near EdgeとFar Edgeに関してはLinuxと「Kubernetes」をエッジ向けにカスタマイズして主なユースケースに対応させたものを「Unified Core」として提供する。

 Tiny Edgeは「Industrial IoT」とも呼ばれており、センサーなどのフットプリントの小さなデバイスが該当する。一般的にエッジという場合はこの領域のことを指すこともあるが、この場合はデバイスの処理能力の制約からLinuxなどを稼働させられないことが想定されており、同社のエッジプラットフォームはNear EdgeとFar Edgeで動作させることになる。Tiny Edgeへの対応は、Far Edgeで動作するエッジプラットフォームがTiny Edgeとなるさまざまなデバイスと業界標準プロトコルを介して通信し、必要な情報のやりとりや制御などを実行する形となる。

 同社はさまざまなオープンソースコミュニティーと連携し、自らがオープンソースコミュティーの一員として参加することで課題解決に取り組むことを基本としており、「オープンであることが成功の秘訣(ひけつ)」としている。例えば、同社はエッジ分野での相互運用性を確保するためのオープソースプロジェクト「Margo」に参加しており、Margoの成果をUnified Coreに組み込むことでFar EdgeのデバイスからTiny Edgeのデバイスなどとやりとりできるようになると見込まれる。

 Basil氏は、オープンソースコミュニティーへの同社の貢献として「実際の顧客の声を聞いて要望を理解し、それを開発方針に反映していくことができる」「企業として十分なリソースがあるので、例えばプロジェクトに専任のエンジニアを配置したり、テストや検証といった作業を担ったりすることもできる」と説明。コミュニティーに参加することで同社が得るメリットとしては「開発が一段落してVer.1.0がリリースされれば、われわれがプロジェクトの成果を最初の商用インプリメンテーションとしてリリースして顧客に提供でき、業界内での評価や影響力が高まることも見込める」と語った。

 デジタル化の遅れがさまざまな形で指摘される日本だが、中核産業といえる製造業などの分野でもOTとITの融合や各種IoTデバイスの活用が進み始めている。ユースケースによって使われるデバイスが全く異なるものになるなど、足並みをそろえて一気に動くことがなかなか起こらない分野だと思われるが、同社をはじめ各企業やコミュニティーの取り組みの進展に期待したいところだ。

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