6Gの現在地–次世代ネットワークの仕様、開発状況、展開時期
今回は「6Gの現在地–次世代ネットワークの仕様、開発状況、展開時期」についてご紹介します。
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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
5G接続はまだ、先進国においても決してあらゆる場所で利用できる状況ではないが、次世代の6Gに向けた計画と研究がすでに進行中だ。
モバイルネットワークの各世代は、前世代のユースケースを統合して新しい機能を導入するという流れを約10年周期で繰り返す。2G(1990年)ではデジタル音声通話とテキストメッセージング(SMS)が導入され、3G(2000年)でスマートフォンでのモバイルウェブブラウジングが追加された。4G(2010年)ではデータ通信が高速化し、モバイル端末での動画視聴が可能になった。そして5G(2020年)によって、モバイルブロードバンドのさらなる高速化と遅延の低減が実現し、産業用モノのインターネット(Industrial Internet of Things:IIoT)、デジタルツイン、自動運転車、スマートホーム、スマートビルディング、スマートシティー、スマート農業、遠隔医療などのユースケースが可能になっている。
6Gは5Gに続く次世代のモバイルネットワークだ。具体的には、その前段階として「5G Advanced」と呼ばれる規格があり、これは3GPPの「Release 18」仕様に基づいている。Release 18の策定は2024年半ばに完了する見込みで、5G Advancedをサポートするデバイスとネットワークは2025年に登場する可能性が高い。
5G Advancedには「AIとエクステンデッドリアリティ(XR)の分野での大幅な機能強化が含まれる見込みで、これによって高度にインテリジェントなネットワークソリューションが実現し、かつてないほど多様なユースケースをサポートできる」と5G Americasは説明している。
では、6Gはどうなのだろうか。Nokiaは次のように述べている。「ネットワーク接続の点で5Gがエンドユーザーにもたらすあらゆる改善が、文字どおり、6Gによってさらに完全なものになるだろう。スマートシティー、スマートファーム、スマートファクトリー、ロボット工学など、さまざまなものを6Gが新たな次元に引き上げる」
6Gの開発が従来の10年周期に沿って進むとしたら、最初の商用ネットワークの登場は2030年頃になるだろう。5Gネットワークをすぐに展開した地域、たとえばアジアでは、もっと早いかもしれない。
年1回開催される「Mobile World Congress」は、モバイルの世界の温度を感じとる機会であり、2023年の主要テーマは「5Gの加速」だった。しかし、「Ready to talk 6G?」「Spectrum: delivering a 6G Future」といったタイトルのセッションで、すでに6Gの存在感が漂っていた。
要件と標準の策定、周波数帯(テラヘルツレベルまで)の定義と割り当て、(オープンさが増す)無線アクセスネットワーク(RAN)の拡張、AIを活用したコアネットワークの展開、6G対応デバイスの発売が進むにつれて、6G関連の話題を耳にすることが増えていくはずだ。
ITUの「IMT-2020」要件で定義されている5Gの理論上の最大データ通信速度は、下り最大20Gbps、上り最大10Gbpsで、「ユーザーの体感」速度は下り100Mbps、上り50Mbps、遅延は1ミリ秒(URLLC)から4ミリ秒(eMBB)で、1平方kmあたりの接続密度は最大100万台(mMTC)だ。
6G(「IMT-2030」)の要件はまだ固まっていないが、理論上の下りデータ速度は最大で毎秒1テラビット(1Tbps、1000Gbps)、遅延はマイクロ秒単位になる可能性がある。6Gがこれに近い数値を実際に出すことができれば、5Gよりもはるかに幅広く、さらに性能の高いユースケースが可能になるだろう。
通信規格5G6G最大データ速度20Gbps1Tbps体感データ速度100Mbps1Gbps最大帯域幅1GHz100GHz接続密度1平方kmあたり100万台1平方kmあたり1000万台遅延1ミリ秒100マイクロ秒可動性(Mobility)時速500km時速1000km