狙いは「ゲームチェンジ」–DXビジネスでマルチクラウドを掲げたIBMの思惑
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IBMがDX支援ソリューションのマルチクラウド展開へ本格的に乗り出した。そこには、DXビジネスにおいてクラウドのハイパースケーラーから主導権を奪う「ゲームチェンジ」の狙いがありそうだ。
日本IBMが3月30日、業界や事業特性ごとに共通して必要となるDXの共通基盤を提供する「デジタルサービス・プラットフォーム」(以下、DSP)において、そのインフラとなるクラウドサービス(IaaS)として「IBM Cloud」に加え、「Amazon Web Services」(以下、AWS)や「Microsoft Azure」(以下、Azure)などのマルチクラウドに対応することを発表した。
企業においてマルチクラウド環境を活用するケースが増える中で、それぞれのクラウドとDSPが連携することで全社的なDXの推進を支援しようというものだ。また、DSPを機能ごとに分割し、単一機能での導入をはじめ、顧客が既に利用しているクラウド環境への導入や運用との連携なども可能としている。
「IBMがこれまでのDX支援で培ったノウハウをソリューション化したDSPにより、ビジネスの変化に追随して柔軟かつ迅速に拡張できるアプリケーションの実現と、テクノロジーを活用した運用自動化や高度化、さらには顧客体験の向上を図っていく」というのが、今回の発表における同社のメッセージだ。
今回発表のマルチクラウドに対応したDSPは、自社に最適なクラウドサービスの選択を可能にするだけでなく、クラウドが本来提供する価値を最大限に引き出すことを目指しているという。その例として、迅速かつ柔軟なアプリケーション開発とその展開を可能にする「DevSecOpsパイプライン・ビルダー」や、運用監視の自動化と高度化を実現する「AIを活用したIT運用サービス」を新たに提供するとしている(図1)。
今後はさらに、さまざまなクラウドやオンプレミスにも提供範囲を拡大していく構えだ。特にオンプレミスで最新のクラウド技術を活用するケースが増えていることから、クラウドネイティブ技術のオンプレミス活用に対応するDSPを提供し、ハイブリッドクラウドへの需要の高まりに対応していくという。
また、「業務マイクロサービス」は現在、金融サービス、クレジットカード、ヘルスケアの業務をサービス部品化しており、今後は保険や流通、製造などの業界向け、さらにサステナビリティー、エンタープライズAI、メタバースなどの用途に応じたマルチインダストリープラットフォームとしてDSPの拡充を進めていく計画だ。
ちなみに、IBMはDSPを2020年に金融サービス向けに提供開始し、2023年3月までに28の金融機関で採用されているとのこと。今回のマルチクラウド対応についても日本IBMが2022年12月に開催した年次イベント「Think Japan」で方針を明らかにしていた。