DX事業組織の名称変更に透けて見えるNECの試行錯誤
今回は「DX事業組織の名称変更に透けて見えるNECの試行錯誤」についてご紹介します。
関連ワード (CIO/経営、松岡功の「今週の明言」等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、NEC 代表取締役 執行役員常務 兼 CFOの藤川修氏と、国立情報学研究所 教授/電子情報技術産業協会 スマートホーム部会 スマートホームIoTデータプライバシー検討WG 顧問の佐藤一郎氏の発言を紹介する。
NECは先頃、メディアおよびアナリスト向けにESG(環境・社会・ガバナンス)説明会を開いた。同社で代表取締役 執行役員常務 兼 最高財務責任者(CFO)を務める藤川氏の冒頭の発言は、その説明会で、ガバナンスの観点から同社の「2025中期経営計画」における成長事業を担うために4月1日付けで実施した組織改革について述べたものである。
ESGに関する説明会の内容については速報記事をご覧いただくとして、ここでは冒頭の発言にある「成長事業を担う組織改革」にフォーカスしたい。
藤川氏は新たな組織体制について、図1を示しながら次のように説明した。
「まず、デジタルガバメントとデジタルファイナンス事業を『DGDFビジネスユニット』として新設。また、従来のネットワークサービスビジネスユニットを改称して設置する『テレコムサービスビジネスユニット』にグローバル5G事業を含む国内外の通信事業者向け事業を統合した」
「マーケットおよびビジネスモデルの観点では、官公庁や地方自治体向けを中心とした事業を担う『パブリックビジネスユニット』を新設し、国内の行政デジタル化に一元的に対応する体制を構築した。また、ナショナルセキュリティ領域に対応する組織として、航空宇宙や防衛向け事業を担う『エアロスペース・ナショナルセキュリティビジネスユニット』を新たに設置した」
その上で、こう話した。
「グループ横断でDX事業の展開に必要な製品やサービスを一元的に企画、開発、提供する『デジタルプラットフォームビジネスユニット』を新設した。共通的な機能やアセットの標準化をグローバル視点で推進し、戦略コンサルティングからプラットフォーム、デリバリーまで当社の強みを生かしたEnd to EndのDXオファリングを拡充・強化していく。これらを当社が有する業種ごとのノウハウと組み合わせて提供することで、お客さまの経営課題解決への貢献とDX事業の拡大を図っていきたい」
ちなみに、上記の発言にあるプラットフォームとは、同社のDX事業基盤となる「NEC Digital Platform」のことである(図2)。
では、これまではどんな組織だったのか。図3に示したのがそれだ。図1と比べて特に注目したいのは、「デジタルプラットフォームビジネスユニット」の前身となる組織の名称が「デジタルビジネスプラットフォームユニット」だったことだ。今は図2に示した「デジタルプラットフォーム」のビジネスユニットであることが明確になっているが、以前はビジネスユニットではなかったので、デジタルビジネスのプラットフォームを担う組織だったということか。名称変更にNECの試行錯誤が透けて見えるようで興味深い。