ウルシステムズ初の学生向け技術コンテスト「UTE-1」–優勝したのは東工大の4人組

今回は「ウルシステムズ初の学生向け技術コンテスト「UTE-1」–優勝したのは東工大の4人組」についてご紹介します。

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 ウルシステムズは2月25日、学生向け技術コンテスト「UTE-1」を開催した。大学生や大学院生、高等専門学校生、専門学生らで構成された30チーム・76人が参加。優勝は東京工業大学の「:shinkyu_yokkyu_monster:」チームで、課題解決で得点を競うコンテストの序盤から得点を重ね、最後まで1位を守り切った。

 UTE-1は、若手ITエンジニアの応援を目的とした学生向けの技術コンテストで、正式名称は「ULTRA TAMAGO ENGINEER No.1」。DX推進の波を受けてITエンジニアの重要性はますます高まっている一方で、依然として人材不足は続いている。ウルシステムズでは、こうした状況に一石を投じるべく、学生がIT業界に関心を持つきっかけ、仲間とともに技術を競う場を提供しようと、今回の取り組みを開始した。

 グーグル・クラウド・ジャパンが協力企業として参画したほか、三井不動産、三井物産、花王、長谷工コーポレーション、KDDI、SOMPOシステムズ、全日本空輸、西武ホールディングス、出光興産、AtCoderが応援企業に名を連ねている。

 初開催となる今回は、バグフィックスとパフォーマンスチューニングをテーマにした。架空のECサイトのシステムアーキテクチャーやソースコードを読み解き、正常動作を妨げる機能バグや性能低下を引き起こすボトルネックを解消する。機能バグの修正率が、ある一定の基準を超えないと性能評価の配点が加点されない仕組みで、6時間半の競技時間内にECサイトを正常に動作させ、最も高いスコアを出したチームが優勝となる。1位のチームには賞金100万円が贈られた。

 UTE-1は、プログラミングだけではないITエンジニアの力量を競うものになっている。実務ではネットワークやデータベースなど広範な技術知識が求められ、ビジネスニーズに合致したものを作るための問題発見力や解決力も必要となる。今回は、ウェブアプリケーション開発の全般的な知識を問うものだった。

 競技の様子について、開始から2時間が経過した段階では上位チームでも主催者が用意した機能バグの約半数が消化された程度で、性能評価に到達するチームはなかった。5時間が経過すると、この時点で1位のチームが機能バグをほぼ消化し、性能スコアも順調に加算。3位以下は頻繁に順位が入れ替わる混戦模様だった。終了の5分前には、1位と2位が大接戦。3位以下も点差的に入れ替わりの可能性がある混戦模様のまま最終採点を迎えた。

 優勝を飾ったのは、東京工業大学の「:shinkyu_yokkyu_monster:」チーム。池田太樹さん(工学院 情報通信系、3年:いずれも3月時点)、関響さん(理学院 物理学系、3年)、杉山祐紀さん(情報理工学院 情報工学系、4年)、阿部翔太さん(情報理工学院 数理計算科学系、3年)の4人で参加。彼らは、東京工業大学・大岡山キャンパスを拠点に活動するデジタル創作・プログラミング系サークル「デジタル創作同好会traP」に所属している。

 同サークルはアプリやゲームの制作を中心に、音楽(DTM)、グラフィック(イラスト、3Dモデル、ドット絵、動画)などの創作活動に加え、ウェブインフラや競技プログラミング、サイバーセキュリティなどに関する活動も行っている。部員数は300人以上という。

 4人はおおよそ小学生から中学生のころからプログラミングに興味を持ち始め、大学入学後にサークル活動の中で腕を磨いていった。いずれも「Go」や「Python」などのプログラミング言語を使いこなし、実際にサークル内で利用するシステム/サービスの開発や運用にも携わっているという。「インフラ面を担当することが増えたので、最近は『YAML』や『Terraform』ばかり使っている」(関さん)

 UTE-1への参加については、池田さんがサークル内で参加を呼びかける形でメンバーを募った。「100万円という賞金額が最大の魅力だった。学生限定のコンテストなので自分たちにもチャンスがあると思った」(杉山さん)

 関さんは競技中のチームワークについて「まずは役割分担を決めた。競技中は『Discord』で連絡を取り合い、作業に詰まった時には2人ずつに分かれて、話し合いながら進めていった」と振り返った。「(機能バグの修正では)仕様書を抜け目なく見る能力が養われた」とも話す。パフォーマンスチューニングでは、ボトルネックになりそうなところを感覚的に探るのではなく、計測ツールによる問題特定と効果検証を徹底したことが奏功した。しかし、「(終盤は)2位チームの追い上げがきつく、最後まで気が抜けない状況だった」と池田さんは打ち明ける。

 また、一般にエンジニア向けコンテストでは競技用に構築されたシステム環境が多い中、UTE-1はより実践的な稼働環境が用意されていた点が特徴的だったという。

 獲得賞金はメンバーで山分けにするという。新しいノートPCやキーボード/マウスなどの購入費用に充てるほか、新しい技術を勉強するための資金にしたいという声もあった。「将来はソフトウェアデザインやシステムアーキテクチャーなどのより上流の知識や技能を身に付けていきたい」(阿部さん)

 UTE-1の運営担当者は「想定していたよりもずっと高いレベルの知識と技術を備えていた」と舌を巻く。今回の競技では、1~3位は東京工業大学のチームが独占したものの、4位と5位は1人の参加(名古屋大学と筑波大学の学生)で上位入賞という成果を収めた。「1人で機能バグをほぼ解消し、性能評価に到達するまでの実力はかなり高い技術力を持っている」と評した。

 次回以降については、採点基準などの競技ルールや運営面を見直した上で、先端技術をテーマとした課題を用意していく予定としている。

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