「ChatGPT」ブームで中国人AIエンジニアの争奪合戦が激化
今回は「「ChatGPT」ブームで中国人AIエンジニアの争奪合戦が激化」についてご紹介します。
関連ワード (中国ビジネス四方山話、開発等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
対話型AI「ChatGPT」など文章や画像を作る生成AIが世界的なブームとなっている。中国でも大きな注目を集めており、ネット業界を中心にこれまでにないAI人材の争奪合戦になっている。例えば、中国のゲームメーカーは画像生成AIの活用を本格化させている。人材の確保だけでなく、協業や投資などさまざまな手段を講じてAIを利用するための体制の整備が迫られている状況だ。
ゲーム業界は画像生成AIを取り入れることで、コンテンツ制作などの繰り返し作業を減らすだけでなく、クリエイティブな作業を加速させる。騰訊控股(テンセント)や網易(ネットイース)、米哈游(ミホヨ)などの企業は長きにわたってAIを開発してきたことで知られるが、2023年に入ってから主なゲーム開発会社は軒並みAI開発に参入している。優れた人材を確保するため、多くの企業が経歴に関係なく、月数万~10万元という好条件を提示している。
ただ、どのゲームメーカーもAIが生成した画像をそのまま利用しているというわけではない。理由としては、まずAIが生成した画像をめぐる法的な状況が曖昧であるということ。次にゲームプレーヤーがAIの生成画像を受け入れない可能性が高いということ。そのため多くのゲームメーカーは、AIの適用や実装を担うアプリケーションエンジニアに加え、モデルの構築を担うアルゴリズムエンジニアの採用に躍起だ。
オープンソースのアルゴリズムは誰でも利用できるため、多くの企業がAIアプリケーションの開発に活用してきた。実際、中国では独自のアルゴリズムを実行しているエンジニアはほとんどいない。だが一方で、アルゴリズムがどのような仕組みで動いているのか分かっていないと、何か重大な問題が顕在化した時に窮地に陥るのを、中国はこれまでのさまざまな痛い経験から知っている。
ChatGPTが話題になると、AI人材の獲得競争はますます激しくなった。猟聘大数据研究院の統計によれば、AI人材のニーズは5年間で倍になり、ChatGPTが話題になってから初任給が4割以上も上昇したという。
AI分野を担当してきたヘッドハンターによると、2023年は2月までに40件を超える人材紹介の相談を受け、これ以上新規の案件を受ける余裕がないほど多忙な日々を過ごすようになったとのこと。また、別のヘッドハンターも大手企業グループやそれに続く規模の企業からAI人材の問い合わせが数多くあったとしている。各企業とも「OpenAIプロジェクトの華人が今すぐ欲しい。金に糸目はつけない」と口をそろえる。ChatGPTを理解しているコアの研究者を見つけることが類似製品を迅速にリリースする近道だからだ。
「ChatGPTは本質的に新しいテクノロジーではない。クライアント企業のニーズを分解し、問題を解決できる専門家を見つけてつなぐのが役目」だとヘッドハンターは言う。クライアント企業は業務要件を明確にする必要があるが、実際はAI人材を求める一方で雇っても具体的に何をさせたいのか明らかでない相談ばかりが来ているようだ。企業がAI人材の募集をかけても、ヘッドハンターが最適な人材を見つけるのに2~6カ月はかかるという。すぐに人材が欲しいクライアント企業に対し、ヘッドハンターは大きなプレッシャーを感じている。
報道によると、OpenAI自体も最近、GoogleのAI部門にいた元従業員を10人以上採用していたという。こうした中、同社に所属する中国人を見つけ出しても、母国に帰るよう説得できる可能性は低いだろう。華人のAI人材をシリコンバレーから引っ張ってくるのも相当な時間がかかるはずだ。