NTT Comが取り組む医療従事者の働き方改革–奈良県庁と医療DX推進で実証実験

今回は「NTT Comが取り組む医療従事者の働き方改革–奈良県庁と医療DX推進で実証実験」についてご紹介します。

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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は5月25日、2024年4月に開始される医師に対する時間外労働の上限規制を見据えた実証実験の結果を発表した。

 プラットフォームサービス本部 5G&IoTサービス部 5Gサービス部門 担当部長の久保田真司氏は「医師不足や医師の偏在による医療格差、医師の働き方改革が強く求められている。われわれのモバイル事業やクラウド事業を掛け合わせ、課題解決と地域医療に貢献したい」と取り組みの意義を説明した。

 厚生労働省が実施する時間外労働規制は、ビジネスパーソンや現場労働者に限らず、医師も対象である。「働き方改革関連法」(働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律)により、2024年4月以降は年960時間(もしくは月100時間)未満の時間外労働を基準に厚生労働省令で上限規制を定めた。

 医療従事者の尽力がなければ、国内でも新型コロナウイルス感染症がまん延しかねず、上限規制による医師不足が大きなリスクをはらんでいることは火を見るよりも明らかだ。この課題に医療DXの観点から取り組んだのがNTT Comである。具体的には2023年1~3月の3カ月間にわたり、奈良県内の医療機関で実証実験を行った。その結果、業務のタスクシフト推進やITツールの活用が有効であることが判明した。

 実証は、奈良県庁が2022年12月21日に公募した「デジタル化による医療従事者の働き方改革推進事業委託業務」の採択を得たことから始まる。同県庁が課題とする前述の2024年問題や新型コロナウイルス感染症による医療従事者の業務負担増、人材不足による医療サービス維持の懸念を払拭するため、スマートフォンや携帯型ビーコン、議事録作成ツールの「AmiVoice ScribeAssist」を用意した。なお、スマートフォンは「iPhone」を選択している。

 同社調査によると、医療機関がPHSの後継機としてスマートフォンに切り替える際は「約8割がiPhoneを採択」しているという。音声認識アプリケーションの「AmiVoice iNote Lite」も「iOS」のみの対応となっており、プラットフォームサービス本部 5G&IoTサービス部 5Gサービス部門の島田一輝氏は「医療系アプリケーション自体がiOSのみ動作保証するケースが多い」と説明する。

 1週間および3カ月間の実証実験から「院内各所に受信器を設置し、ビーコンをBluetoothが検知することで(医師の)定量的観点から分析可能。その結果、間接医療時は『移動』に多くの時間を費やしていることが分かった。医師は7.8km、看護師は2.9km。(平均して)1日約5kmを移動する計算だ。AI音声認識ワークシェアリングサービスでも課題解決に寄与できるが、コミュニケーションツールを活用すると、さらなる業務効率化が実現する」(島田氏)との知見を得た。

 実際に、申し送り業務やメモの内容を隙間時間にスマートフォンでテキスト化する業務スタイルを確立した医療従事者もいたという。

 他方で医療の現場は医師や医療従事者の連絡手段にPHSを用いるが、既に消費者向けサービスは縮小し、「スマートフォンシフトと(病院内の)モバイル環境整備」(島田氏)が欠かせない。NTT Comはスマートフォンへの移行が医療DXの第一歩と目標を掲げつつ、5G網の整備やウェアラブル端末、音声認識AIの導入をNTTグループ全体で取り組んでいくと説明した。

 同社のメディカルチームが設立された2014年度は35病院だったが2022年度時点で278病院がPHSからスマートフォンに移行している。その利点として、島田氏は「(PHSは)病院内は内線通話対象エリアになるのが魅力だが、内線番号に対応したスマートフォンなら医療従事者が訪問介護や学会に出向く際もそのまま使用できる。AI音声入力サービスも引き合いが多い」と強調した。

 モバイル環境の整備は医師・医療従事者に限らず、患者にも幾つかの利点がある。リアルタイム映像伝送システムやハンズフリー目線映像伝送システム、自律走行型ロボットを組み合わせて、熟練医師の助言や遠隔診療、院内の移動補助に用いると、今後の高齢社会で増加するであろう患者への対応も円滑に進むだろう。

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