「レベル4」の自動運転で東京~大阪間を幹線輸送–自動運転トラックの公道実証も計画
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「自動運転技術を活用した社会インフラを構築し、日本の物流を支える」――、こう掲げるのは、三井物産とPreferred Networks(PFN)の共同出資で設立された合弁会社のT2である。
昨今、2024年問題といった就業規制の厳格化や物流需要の増加などにより、長距離輸送におけるドライバー不足の深刻化が問題となっている。また今後、労働人口の減少や法規制により問題が深刻化する可能性も高いとされる。そこで同社は、三井物産の持つ事業構想力を基にして、PFNの持つ深層学習などの人工知能(AI)技術を活用し、自動運転技術を活用した幹線輸送サービス事業に挑戦している。
具体的には、主要物流拠点間を往復する「レベル4」の自動運転トラックによる幹線輸送サービスの提供を計画している。レベル4自動運転とは、高速道路の特定条件下におけるドライバー不在の完全自動運転を意味する。運送会社や荷主が主なユーザー企業になると想定し、まずは東京~大阪間でサービスを提供する予定。政府のロードマップに沿う形で、2025年度での事業開始を目指している。
代表取締役で最高経営責任者(CEO)の下村正樹氏は「東京~大阪の物流拠点間の幹線輸送を初期の対象として段階的に拡大させていく。高速道路直結の物流拠点は限定的なため、初期は高速道路を出た所に『切替拠点』を設け、有人運転に切り替えて拠点まで運ぶオペレーションを想定している」と語る。
同氏によると、2020年7月に概念実証(PoC)を開始して以来、乗用車の実験車両の完成(10月)、閉域での基本的な自動運転の確認(12月)、シミュレーター上でのトラック制御に成功(2022年2月)、トラックの実験車両の完成(6月)など、技術開発・事業開発とも着実に歩みを進めてきた。
このようにして技術と事業についてある程度のめどが立ったことを受けて、2022年8月にT2を設立。自動運転システムの開発を中核に、レベル4自動運転トラックによる幹線輸送サービス事業、幹線輸送に付随した関連サービス事業の展開を開始している。なお、同社の資本金は25億円で、三井物産が80%、PFNが20%を出資している。
11月には、同社として初めて高速道路での乗用車の公道実証実験を実施した。これまではテストフィールドで自動運転の走行実験を進めてきたが、自動運転システムのさらなる開発推進を目的として、首都高速道路6号線を用いて公道実証実験を行った。引き続き、高速道路における乗用車の自動運転走行実験を続け、2023年3月には自動運転トラックを用いた公道実証実験も計画している。
ただ、目下の課題としては人材の確保だという。機械学習、数理最適化、シミュレーションなど自動運転システムの開発を担うソフトウェアエンジニアはもちろん、自動運転車が安全に走行し、停車できるための開発に必要な制御系のエンジニア、道路運送車両の保安基準などの知識を持った安全運行管理者も求められている。
下村氏は今後について、「実際にユーザーとなる運送会社と初期段階から協議が行えている。ユーザーにとって実用性と経済性がある自動運転サービスの実現を目指す」といい、また「各関係省庁が連携して自動運転の取り組みが推進されているので、関連する官公庁と歩調を合わせ、今後は制度面からの支援を得たい」と述べ、運送会社をはじめ戦略パートナーとの協議を進め、法制度・規制緩和・官学連携も進めていく考えを示した。