ID管理は全ビジネス領域の要–OktaのマッキノンCEOが描く事業戦略
今回は「ID管理は全ビジネス領域の要–OktaのマッキノンCEOが描く事業戦略」についてご紹介します。
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ID管理サービスを提供するOkta Japanは、米Okta 最高経営責任者(CEO) 兼 共同創業者のTodd McKinnon(トッド・マッキノン)氏の初来日に伴い、グローバルでの事業戦略や国内展開について事業説明会を開催した。
McKinnon氏は「2009年にOktaを設立し、当時の目標は『企業におけるクラウドアプリケーションの導入や活用を手助けすること』だった。われわれはクラウドの未来に心を躍らせており、テクノロジーの重要な役割を担うと考えていた。結果としてこの賭けは正しく、現在多くのITサービスはクラウドベースになっている、あるいはクラウドに移行している最中だ。クラウドのほか、DXやセキュリティもこの数年で成長しており、これらの領域はわれわれが成長する上での基礎だといえる。なぜなら、これらの中心にあるのは“アイデンティティー”だからだ」と語った。
Oktaの国内事業は、消費者向けサービスの認証基盤「Customer Identity Cloud」における認証数の年間成長率が100%以上、企業システムのIDやパスワードを一元管理するサービス「Okta Workforce Identity Cloud」における 2023年3月時点での年間認証数が1億6000万回以上、日本法人設立以降の成長が約6倍以上だという。
事業説明会に併せてOkta Japanは、SmartHRとの連携を発表した。クラウド人事労務ソフト「SmartHR」は、ノーコードでID管理のビジネスプロセスを自動化する「Okta Workflows」とコネクター連携することで、より多くの人事情報を活用したIDの運用管理が可能となる(図1)。
Workflowsは、外部のアプリケーションとの連携を安全に行うため、プレビルドされたコネクターを提供している。SmartHRは、Oktaが展開する7500以上の事前連携済みアプリケーションカタログ「Okta Integration Network」(OIN)と「Security Assertion Markup Language/System for Cross-domain Identity Management」(SAML/SCIM)で連携していた。SCIMは、複数のクラウドサービスやシステム間でID情報のやりとりを自動化する標準規格で、ユーザー情報を基にしたアプリケーションの割当て・解除を自動化する。
今回、新たにWorkflowsのコネクター連携が加わることで、より詳細な人事情報を活用することが可能となる。例えば、ユーザーの在籍状況や契約形態、事業所などの人事情報を新たに取得でき、より多くの人事情報に基づいてアカウント管理を自動化する。これにより、IT管理者や人事担当者の負荷を大幅に削減し、過剰なアクセス権限の付与やアカウントの解除漏れによる情報漏えいのリスクを低減できるという。
Okta Japanは自社サービスの提供拡大に向けてパートナーシップを加速させており、パートナー企業数は2022年の42社から2023年には64社に増加している。パートナーの種類も拡大しており、ディストリビューター、リセラー、システムインテグレーター(SIer)、ITコンサルファーム、テクノロジーパートナーと多岐にわたる。
また、同社はエンドユーザーだけでなく、管理者向けのインターフェースにおいても日本語での提供を進めている。「これにより、ITの管理者やセキュリティの担当者は、彼らの組織のアイデンティティーを完全に日本語で管理できるようになる。こうした取り組みは、世界中の人々にサービスを提供する上で重要な一歩となる」とMcKinnon氏。この日本語化は、7月頃までに行うという。
同氏は、Oktaが成長してきた大きな理由として「ビジネスの全ての領域でアイデンティティーが重要であること」を挙げた(図2)。「最高情報責任者(CIO)はITのパフォーマンス、最高マーケティング責任者(CMO)はコンバージョンや顧客の獲得、最高技術責任者(CTO)はイノベーション、最高財務責任者(CFO)はコストや効率、CEOは自社の成長や利益を気にしている。アイデンティティーは戦略的なビジネスのアクセラレーターであり、企業の全ての領域、そして世界中の全ての人々にとって、利益を生むポテンシャルを持っている」(McKinnon氏)