インテル、次世代CPU「Meteor Lake」の概要を説明–2023年後半に登場予定
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OpenAIの「ChatGPT」や、Microsoftの「Bing」、Googleの「Bard」、Adobeの「Photoshop」など、今一番世間の注目を集めている人工知能(AI)ツールは、どれも強力で高価なサーバーが大量に置かれたデータセンターで動いている。しかし、米国時間5月29日にIntelが明らかにしたPC向け次世代プロセッサー「Meteor Lake」が導入されれば、ノートPCがAI革命の一端を担うようになるかもしれない。
2023年後半に登場する予定のMeteor Lakeは、AIの処理を低い電力消費で扱えるAIエンジン(VPU)を搭載している。IntelのクライアントAI事業責任者John Rayfield氏は、例えばこのチップは、ビデオ会議中に背景をぼかしたり入れ替えたりする際に人物の輪郭を認識するAIの動作を改善できると語った。
「物を作れば用途は後からついてくる」という可能性もある。スマートフォン用のプロセッサーやAppleの「MacBook」に使われているMシリーズプロセッサーの場合がそうだったように、AIエンジンをプロセッサーに直接組み込めば、開発者がAI機能を利用したソフトウェアを開発するようになるかもしれない。
しかし、GPUもAI処理のアクセラレーションに非常に適しており、しかもすでにほとんどのPCに搭載されているため、ユーザーの多くが「Windows」PCをアップグレードするのを待たなくても利用できる。しかもGPUは、PCを使ったAIの処理で高いパフォーマンスを発揮する。しかしRayfield氏は、Intelの新しいAIエンジンには消費電力が低いという強みがあると主張した。また、両方を同時に使用することで、さらにパフォーマンスを高めることもできるという。
IntelにとってMeteor Lakeが重要な理由はほかにもある。Meteor Lakeは、AppleのMシリーズプロセッサーに対する最大の弱点である、省電力性能を改善する設計になっているのだ。また、ゲームや一部のAIの処理で重要になるグラフィックスの処理性能も改善された。
またこのプロセッサーは、Intelの数年にわたる方向転換の取り組みの鍵でもある。Meteor Lakeは、チップ製造業界をリードする企業である台湾積体電路製造(TSMC)やサムスンに追いつくために必要不可欠な新しい製造プロセスである、「Intel 4」で製造される最初の大型チップになるためだ。またこのチップには、複数の「チップレット」をより柔軟かつ経済的にスタッキングすることで強力なプロセッサを作る技術である、「Foveros」と呼ばれる新しい3Dパッケージング技術が使われている。
最近では、リアルな画像や人間が書いたような文章を生成できる生成AIと呼ばれるAIが注目を集めている。Meteor Lakeは、生成AIの1つである「Stable Diffusion」を実行できるが、ChatGPTのような大規模な言語モデルは大きすぎて扱うことができない。
しかし、その状況を変えるための取り組みも数多く行われている。Facebookの「LLaMA」やGoogleの「PaLM 2」などの大規模言語モデルは、PCやスマートフォンのような小規模な「クライアント」デバイス向けにスケールダウンできるよう設計されている。
Rayfield氏は、「クラウドで実行するAIには(中略)、遅延、プライバシー、セキュリティなどの課題がある上、基本的にコストが高い」と述べている。「いずれ計算効率が向上してくれば、クライアントに移される部分が増えてくるだろう」