JEITA新会長が掲げた「デジタル産業の業界団体として注力する3つの取り組み」とは

今回は「JEITA新会長が掲げた「デジタル産業の業界団体として注力する3つの取り組み」とは」についてご紹介します。

関連ワード (CIO/経営、松岡功の「今週の明言」等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

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 本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。

 今回は、電子情報技術産業協会 会長の小島啓二氏と、トレンドマイクロ セキュリティエバンジェリストの岡本勝之氏の発言を紹介する。

 電子情報技術産業協会(以下、JEITA)の新会長に6月1日付で就任した小島啓二氏(日立製作所 代表執行役 執行役社長 兼 CEO)は先頃、記者会見を開いた。冒頭の発言はその会見で、デジタル化の進展について強調したものである。

 小島氏は、JEITAが今後、注力する取り組みとして、以下のように3つ挙げた。

 1つ目は、テクノロジーの進化と社会との調和に貢献することだ。これについて、小島氏は次のように説明した。

 「社会全体のデジタル化が過去に例のない勢いで進展し、最近話題の『生成AI』をはじめとするテクノロジーが、企業活動のみならず、日々の暮らしにも浸透してきた。デジタル化を社会全体の利益とし、その恩恵を誰もが享受できることが望まれる。生産性向上、働き方改革といった身近な課題から、カーボンニュートラルのような地球規模の課題に至るまで、『社会課題解決のカギは全てデジタルにある』と言っても過言ではないと思っている。テクノロジーの進化をキャッチアップし、継続的なデジタル化投資が行われるよう、事業環境の整備を推進していきたい」

 「一方で、テクノロジーが進化するスピードと、社会がそれらを受け入れ、適応するスピードにはギャップがある。そのギャップを埋めるための環境整備を推進し、デジタルイノベーションと社会や法制度の歪みを是正する取り組みなど、調和のとれた社会実装を進めていきたい」

 2つ目は、デジタルによる課題解決をさらに推し進め、社会に貢献することだ。これについては、次のように説明した。

 「JEITAが事務局を務める『Green×Digitalコンソーシアム』で実証実験に取り組んでいる、サプライチェーン全体のCO2排出量の見える化をはじめ、データの共有、連携、活用など、デジタルによって課題解決を図るべき分野は数多く存在している。社会課題は、企業1社だけで解決するのは難しく、仕組みづくり、仲間づくりが大切だ。こうした活動こそ、JEITAの特性を生かして取り組むべき分野だと考えている」

 「会員各社から持ち込まれる共通課題について、JEITAの持つリソースやネットワークをフルに活用して、デジタルによる解決に向けたアプローチを推進する。また、社会のデジタルトランスフォーメーション(DX)を前進させるため、会員をはじめとする幅広い産業の企業と密に連携しながら、制度や規制などの事業環境整備を国内外の関係機関へ働きかけていきたい」

 3つ目は、次世代の担い手育成に貢献することだ。これについては、次のように説明した。

 「デジタルの活用は常に進化し続けるものであり、新しいアイデアと技術を生み出し、自らをも変化させる柔軟性が求められる。そのカギを握るのは次世代の担い手だ。DX、グリーントランスフォーメーション(GX)の基盤を支える人材は、デジタル技術を提供する企業のみならず、デジタル技術を利用する企業や政府機関などにおいても不可欠だ。意欲のある人が、デジタルの素養や知識を、学び直しも含めて広く習得することができるよう、会員企業と協力して、多様な機会を提供していきたい」

 小島氏は最後に、「JEITAは幅広い産業の会員企業と連携し、政府をはじめとする関係各所とも密に連携しながら、課題解決や競争力強化、新たな市場創出に取り組み、『Society 5.0』の実現につなげていく。社会のDXをより加速させていくことこそが、未来社会への貢献であるとし、『デジタル産業の業界団体』として、社会の期待に応え、責務を果たしていきたい」と述べた。

 会見の質疑応答では、生成AIへの取り組みについての質問も相次いだ。デジタル技術がどんどん進化していく中で、「デジタル産業の業界団体」が果たすべき役割も一段と大きくなりそうだ(写真1)。

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