Google、NVIDIA、Qualcomm、インテルらが、RISC-V用オープンソース開発を加速させる組織「RISC-V Software Ecosystem」(RISE)プロジェクトを立ち上げ
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RISC-V(リスクファイブ)プロセッサ対応のオープンソース開発を加速させる組織「RISC-V Software Ecosystem」(RISE)プロジェクトが、Linux Foundation Europeをホストとし、Google、NVIDIA、Qualcomm、インテルを始めとする13社がボードメンバーとなってスタートしました。
もともとRISC-Vはカリフォルニア大学バークレイ校のコンピュータサイエンス科が開始した、新しいプロセッサ命令セットを開発するためのプロジェクトです。創立メンバーにはRISCプロセッサの基礎を築いた計算機科学者のデイビッド・パターソン博士らがおり、当初は教育に使うための命令セットとして開発されました。
現在ではRISC-V Internationalの下でオープンかつ無料で使えるプロセッサの命令セットとしてライセンスされています。
RISC-Vはシンプルな命令セットで電力効率の高いプロセッサを実現可能な点が特徴とされているため、将来的にはArmの競合になるとの見方もあります。
参考:オープンなCPUの命令セットを開発する「RISC-V Foundation」がLinux Foundationと提携。「RISC-V」の推進を後押し
コンパイラやシステムライブラリ、LinuxやAndroidなどにフォーカス
今回発表されたRISEプロジェクトは、このRISC-Vのソフトウェアエコシステムの発展を加速させるべく発足したものです。
ミッションは3つ。RISC-V用のオープンソース開発を加速すること、RISC-Vプラットフォームの実装における品質向上、RISC-Vソフトウェアのエコシステムの前進とパートナーによる努力を結集させること、です。
RISEプロジェクトでは、以下の領域にフォーカスすることも明らかにされています。
これを見ると、コンパイラやシステムライブラリ、LinuxやAndroidなどのOS、そしてPython、Java、V8(JavaScriptエンジン)など、基本的なソフトウェアの充実が急務であることが見て取れるようです。
RISC-Vへの取り組みは、5年前の2018年にWester Digitalが自社の組み込み用プロセッサとして採用を発表しており、昨年(2022年)には自社製のRISC-Vプロセッサのライセンス販売を開始していることが報道されています。
Googleは今年に入りAndroidでRISC-Vのサポートを進めることを明言しており、それは今回のRISEプロジェクトへの取り組みにも表れています。また、Appleも昨年末からRISC-Vエンジニアの募集を行っていることから、何らかのRISC-Vへの取り組みを始めようとしていると見られています。
まだ市場におけるRISC-Vの存在感はほとんどありませんが、今回のRISEプロジェクトが成功し、基盤となるソフトウェアエコシステムが充実すれば、その上でアプリケーションを移植することは容易になるでしょう。そうなれば、組み込みやスマートフォンなどの領域でRISC-Vの存在感が高まってくる可能性は十分にあると思われます。