富士通が注力する「Uvance」はSAPとの協業拡大で勢いづくか

今回は「富士通が注力する「Uvance」はSAPとの協業拡大で勢いづくか」についてご紹介します。

関連ワード (CIO/経営、松岡功の「今週の明言」等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。

 今回は、富士通 執行役員 SEVP グローバルビジネスソリューションビジネスグループの高橋美波氏と、日立製作所 グローバル環境事業統括本部 部長代理の川上康友氏の発言を紹介する。

 富士通は先ごろ、SAPと「RISE with SAP」のプレミアムサプライヤー契約を日本企業として初めて結んだと発表した。高橋氏の冒頭の発言はその発表会見で、今回のSAPとの協業拡大を富士通のグローバルソリューション「Fujitsu Uvance」(以下、Uvance)のビジネスの底上げにつなげたい思いを述べたものである。

 富士通はSAPのRISE with SAPのプレミアムサプライヤーとして、包括的なクラウドERPソリューション「RISE with SAP, premium supplier option via Higher with Fujitsu」をUvanceのオファリングとして開発し、2024年1月から日本市場向けに提供し、その後順次グローバル市場への展開を計画している。

 会見の内容は関連記事をご覧いただくとして、ここでは冒頭の発言に注目したい。

 Uvanceは、富士通が2021年に打ち出したグローバルソリューションの事業ブランドで、2030年の社会のあるべき姿を起点に、その実現に向けて起こり得る社会課題をクロスインダストリーで解決するための取り組みを指す。高橋氏によると、「サステナブルな社会をつくるという当社のミッションのもと、社会課題を解決する4分野のインダストリー、それを支える3分野のテクノロジー基盤、合わせて7つの分野を重点領域として注力していく。これにより、従来のシステムインテグレーション(SI)だけではなく、新しい事業ポートフォリオへの転換を目指している」とのことだ。

 その上で、同氏は図1を示しながら、「当社はRISE with SAPのプレミアムサプライヤーとして、SAPと共にクラウド活用によるお客さまのデジタルトランスフォーメーション(DX)を実現する。Uvanceの『Business Applications』、すなわちグローバルなビジネスアプリケーションと当社の持つ知見やテクノロジーを最大限活用して、お客さまの持続可能なビジネスを支援していきたい」と述べた。

 この機会に、Uvanceについて筆者が感じていることを述べたい。それは、富士通にとって従来のSIを中心としたビジネスからUvanceに移行していくというのは、「組立加工産業から装置産業へのビジネスモデルの転換」を意味するのではないかということだ。

 従来のSIは典型的な組立加工産業だ。一方、クラウドサービスを主体としてサブスクリプションによってマネタイズするビジネスモデルは装置産業と見ることができる。これがすなわち、同社 代表取締役社長の時田隆仁氏が打ち出した「IT企業からDX企業への転換」だというのが、筆者の見方だ。

 だが、ビジネスモデルの転換は、企業としてこれまでやってきたことを根本から変えなければ、うまく行かない。

 富士通はUvanceの目的として「社会課題の解決」「サステナブルな社会の実現」を挙げている。それは正しい方向だろう。だが、果たして同社が今やろうとしていることが全国の富士通ユーザーに理解されているだろうか。「富士通は変わってしまった」とネガティブに受け止めるユーザーの声も耳にする。もちろん、そうした声が全て正しいわけではないが、何らかの手立てを講じる必要がある気がする。その意味で、富士通は今、正念場を迎えているように感じる。多くのユーザーの支持を得られるように知恵を絞っていただきたい。

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