東北大、北大、NECなど、「津波災害デジタルツイン」の開発を開始

今回は「東北大、北大、NECなど、「津波災害デジタルツイン」の開発を開始」についてご紹介します。

関連ワード (ネットワーク等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 東北大学と北海道大学、NEC、RTi-cast、LocationMindは、内閣府が主導する戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の研究課題「スマート防災ネットワークの構築」において、津波災害とその社会的な影響を予測し、最適な災害対応をリアルタイムに提示する「津波災害デジタルツイン」の開発を開始した。事業推進に当たり実証のパートナーや導入を検討する沿岸部自治体や民間事業者を募集する。

 同事業では、2011年に発生した東北地方太平洋沖地震津波災害の教訓をもとに開発した「リアルタイム津波浸水被害予測システム」を高度に発展させ、「ハザード予測層」「社会影響予測層」「最適対応層」の3つの機能から構成される「津波災害デジタルツイン」の開発・社会実装を進める。なお、8月に東北大学サイバーサイエンスセンターで運用を開始したNECの「SX-Aurora TSUBASA」を中核とするスーパーコンピューターシステム「AOBA」や、国内のさまざまなスーパーコンピューターシステムを活用する。

 今後は2027年度までに「津波災害デジタルツイン」の完成を目指し、プロトタイプシステムを2025年度までに構築して、高知県、仙台市、東海地方での実証を進める。また津波災害をケーススタディとし、将来的にはほかの災害への拡張も目指す。

 津波災害デジタルツインにおいてハザード予測層では、災害前後の地震動・地殻変動や潮位条件・沖合水位などの多様な地球観測データや、海岸施設や重要施設など社会基盤のセンシングデータをリアルタイムに取り込み、シミュレーション技術を活用する。これにより、津波浸水範囲や浸水被害などの正確な災害予測を行い、地震発生から5分を目安に、空間分解能10メートルという詳細な津波浸水予測を完了させる。

 社会影響予測層では、ハザード予測層から得られる浸水予測データから、建物被害や人流への影響を予測する。特に携帯電話位置情報を活用した人流データなど社会動態データをリアルタイムに取り込むことで、機械学習を活用した曝露人口のリアルタイム予測や人流の滞留予測などの社会への影響・被害の予測を行う。また、平常時に人流データの時系列のモニタリングを行うことにより、大きな人流変化がある大規模なイベントや災害の発生を迅速に検知する。

 最適対応層では、ハザード予測層と社会影響予測層からのデータ入力として、予測される社会への影響・被害を最小化・回避するための最適な対応を「組み合わせ最適化問題」として導き出す。この際に、SX-Aurora TSUBASAによる疑似量子アニーリング技術および量子アニーリング技術を併用する。また、量子技術で得られた最適解が現実世界での望ましい災害対応となるように検証していく。

 実施体制は、東北大学災害科学国際研究所が代表機関となり、理学研究科と協力してリアルタイム津波浸水被害予測システムの高度化と人流データの機械学習による社会動態の異常検知、曝露人口のリアルタイム予測の研究開発を行う。

 東北大学大学院情報科学研究科は、量子および疑似量子アニーリングによる災害対応最適化問題の研究開発を行い、東北大学サイバーサイエンスセンターは、高性能計算技術の活用による津波災害デジタルツインの高速化研究と開発を行う。

 北海道大学大学院理学研究院は、沖合津波観測に基づくデータ同化技術の研究開発を行い、リアルタイム津波浸水被害予測システムへの実装を行う。

 NECは津波災害デジタルツインで動作している各種シミュレーション、データ分析、AI モデル、可視化技術を有機的に結合するシステム化研究を行い、津波災害デジタルツインの開発を行う。

 RTi-castは、津波災害デジタルツインの研究開発のプロジェクト管理を行い、社会実装に向けた実証実験の企画・運営を行う。

 LocationMindは、ヘテロな人流データの統合によるリアルタイム人流モニタリングと予測の高度化研究と開発を行う。

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