生成AIの導入を急ぐ企業には警戒心も必要
今回は「生成AIの導入を急ぐ企業には警戒心も必要」についてご紹介します。
関連ワード (調査等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
一部の企業はいち早く生成AIを取り込もうとしているが、導入は潜在的なリスクを軽減しつつ、ある程度の警戒心を持ちながら進める必要がある。
Gartnerが米国時間10月3日に発表した調査レポートでは、現時点ですでに45%の企業が生成AIを試験的に導入しており、10%が実際に業務で利用していることが明らかになった。この調査は、9月に開催されたウェビナーで、企業の経営幹部1419人に生成AIのビジネスコストとリスクについて尋ねたものだ。
これらの数字は、前回の調査よりも大幅に増加した。Gartnerが3~4月にかけて実施した前回の調査では、生成AIを試験的に導入していた企業は15%で、実際に業務で利用していたのはわずか4%だった。
最新の調査では、回答者の約78%が生成AIのメリットはリスクを上回ると述べており、前回調査の68%を上回った。
Gartnerは、45%の企業が複数の部門で生成AIへの投資を拡大しており、22%は少なくとも3つ以上の部門で投資を増やしていると述べている。生成AIに対する投資率・導入率がもっとも高いのはソフトウェア開発部門の21%で、次いでマーケティング部門が19%、カスタマーサービス部門が16%だった。
GartnerのディスティングイッシュトVPアナリストであるFrances Karamouzis氏は、「企業は生成AIについて議論しているだけでなく、実際に取り組みを前進させ、ビジネスの成果を生み出すために時間、資金、リソースを投入している」と述べ、生成AIが一般に利用できるようになった10カ月前と比べると、55%の企業が生成AIに対する投資を増やしていると指摘した。
「企業の経営幹部は、生成AIがさまざまな形でイノベーションや最適化、破壊的変革の推進に役立つことを認識するようになっており、生成AIに対する姿勢がより大胆になっている」とKaramouzis氏は言う。「事業部門やIT部門の責任者は、様子見は投資を進めるよりもリスクが高いことを理解している」
しかし、取り組みを進める決断をするのであれば、倫理的かつ責任ある形で生成AIを導入するための枠組みを用意すべきだ。
Salesforce.comの責任あるAI担当プリンシパルアーキテクトを務めるKathy Baxter氏は、生成AIの利用にはある程度の警戒も必要だと述べている。これには、AIが使用されたことを検知するためのツールを利用することが含まれる。
Baxter氏は、生成AIの大衆化が進み、誰でもそれほどの手助けなしに生成AIを利用できるようになったと指摘した。しかし、多くの企業が有害なコンテンツの排除に関してそれなりの仕事をしており、そうした取り組みへの投資を続けている一方で、AIが生成したコンテンツがどれだけ信頼できるかについては、あまり理解されていない。
Baxter氏は、米ZDNetの取材に対して、たとえAIの回答がでっち上げであっても、ユーザーはそれらをすべて事実とみなすと述べ、有害な回答を検出するツールは間違う可能性があるにも関わらず、その判断は常に正確だと見なされるかもしれないと指摘した。このような思い込みは、生成AIやその関連ツールが教育などの分野で使われた場合、悪影響を及ぼす可能性がある。教育の場面では、AIを作業に利用した学生が不当に責められるかもしれないからだ。
同氏は、こうしたリスクへの懸念を挙げて、生成AIを利用する個人や組織に対して、「十分に警戒しながら」利用することを勧めている。