国内携帯各社のMECサービス、急速な台頭も将来性に複数課題–IDC
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IDC Japanは10月12日、国内携帯通信各社のMEC(マルチアクセスエッジコンピューティング)サービス市場予測を発表した。新興市場で急速な台頭が見込まれる一方、将来性に幾つかの課題を抱えていると指摘している。
同社は、MECを「デバイス近傍にサーバーやストレージなどのインフラストラクチャーを分散配置して、データ処理の応答性を早め、通信の最適化や高速化を可能にする技術」と説明する。現在は、NTTドコモの「docomo MEC」、Amazon Web Services(AWS)を用いたKDDIの「AWS Wavelength」、ソフトバンクの「5G MEC」などがある。
MECの想定用途は、スマート工場、、機械やロボットの遠隔操作、高精細映像の伝送、拡張/仮想現実(AR/VR)の仮想空間表現や空間シミュレーション、自動運転、ゲームやメタバースなどがあるという。DXやデジタルツインなどに必須の技術になるとし、膨大なデータをデータセンターではなくMECで処理することで、応答性に優れた結果を得られるとする。
同社は、この予測でMECのうちIaaSとPaaS相当のサービス市場を対象として、2027年の市場規模は138億円、2022年~2027年の年間平均成長率(CAGR)が69.6%になるとした。しかし、CAGRは2025年をピークに急減速し、急速に成長するも活用が本格化するのは、2027年以降になると予測している。
国内携帯通信各社のMECについて同社は、技術面でさらなる高度化と十分な実用性の提供が必要であり、投資対効果(ROI)が不確実であることも大きな課題だと指摘する。MECは多拠点に展開する必要があり、これに多額のコストがかかる一方、MECで処理するデータの価値の予測が難しいという。さらに、クラウドやほかのエッジコンピューティングとの競合、シームレスな連携による相乗効果なども課題だとした。
同社 Infrastructure & Devices リサーチマネージャーの小野陽子氏は、「基本的に市場競争と各企業の設備投資に任せるとしても、市場原理にのみ従っていては、データ活用によるマネタイズとキャリアMECへの設備投資の好循環が生まれにくい可能性がある。通信事業者単独で考えるのではなく、長期的ビジョンに基づき、通信業界、行政、産業界など部門横断で議論し、必要に応じて制度整備などを進める必要がある」とコメントしている。