レッドハットの良き文化を継承する–三浦新社長が方針表明
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レッドハットは10月11日、日本での年次カンファレンスに合わせて記者説明会を開催し、7月に代表取締役社長に就任した日本IBM出身の三浦美穂氏と、最高経営責任者(CEO)のMatt Hicks氏が経営方針などを説明した。
三浦氏は、日本IBM 専務執行役員 パートナー・アライアンス&デジタル・セールス事業本部長からレッドハットの社長に就任した。前任の岡玄樹氏は、7月10日付で米IBM M&A Synergy and New Markets担当バイスプレジデントに就任し、IBMとRed Hatのグローバルな人事施策の一環となる。
現職就任後では初めて記者説明会に臨んだ三浦氏は、「レッドハットの良いオープンソースの文化を引き継ぎ、オープンハイブリッドクラウド戦略のもと、日本でのビジネスをより加速させていきたい」と表明。4月に前任の岡氏が発表した同社の2023年度の事業戦略を踏襲していく考えを示した。
会見で三浦氏は、3つの基本方針として(1)レッドハットのビジネスモデルの継承、(2)オープンソース業界への貢献と高い技術力を正しく伝える、(3)対話による信頼関係の構築――を掲げた。
(1)では、主軸の「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)」「Red Hat OpenShift」「Red Hat Ansible」に引き続き注力し、RHELのサブスクリプションサービスなどの成長を目指していくとする。(2)と(3)について三浦氏は、オープンソースコミュニティーに対する同社の貢献やオープンソース関連の技術力が顧客らに浸透し切れていないとの見方を示し、取り組みや実績などを顧客に正しく伝えていくと語った。
他方で、顧客へのアプローチが技術に偏らないよう、定評を得ているとするプロフェッショナルサービスなどを通じて、同社のソリューションが顧客のビジネス変革にも貢献することを発信していくとする。また、システムインテグレーターやソフトウェア開発企業らパートナーとの連携も引き続き強化を図り、レッドハットの技術や実績とパートナーソリューションの組み合わせにより、顧客に「一貫性」「アジャイル」「自動化」の価値を提供することで、顧客がモダンなアプリケーションの開発、運用に集中でき、オープンな企業文化の醸成や組織体制の変革にも貢献していきたいとした。
また、これらに加えて、日本では2~3年後にエッジコンピューティング需要が拡大するとの予想も語り、データセンターからエッジにまたがる高信頼性と柔軟性に優れたプラットフォームを展開していきたいとも述べた。
2022年にCEOに就任したHicks氏は、現職では初の来日になるという。説明会では、同社が長年にわたりオープンソースコミュニティーと企業をつなぐプラットフォームの役割を担い、現在ではRHEL、OpenShift、Ansibleが顧客におけるITインフラからモダンアプリケーションの運用までを支援しているなどと述べた。生成AI技術についても、同社はAnsibleなどのデータを活用した高度な運用自動化の推進を掲げており、Hicks氏は、OpenShiftやAnsibleが顧客のモダンアプリケーションをより安全かつ安定して運用するプラットフォームになると説明した。
会見後の質疑では、「CentOS」に関するRed Hatの方針変更への意見などがHicks氏に寄せられた。Hicks氏は、CentOSとRHELのギャップを解消するためとする従来の見解を改めて説明するとともに、昨今のセキュリティ課題となっているソフトウェアサプライチェーンセキュリティの観点からも、脆弱(ぜいじゃく)性対策の迅速な対応や、ユーザーにおけるパッチの迅速かつ確実な適用を実現する上でも必要な取り組みになるなどと語った。
また日本でのビジネスに関して三浦氏は、中堅中小企業へのアプローチもテーマの1つだとし、「ITに詳しい企業とそうではない企業に分かれると思うが、前者にはレッドハットの技術をより深く理解していただくことに努め、後者ではレッドハットの技術を組み込んだパートナーのソリューションを通じて貢献していきたい」と話した。