富士通の研究戦略はこれまでと何が変わり何が変わらないのか
今回は「富士通の研究戦略はこれまでと何が変わり何が変わらないのか」についてご紹介します。
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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
富士通が研究戦略について説明会を開いた。IT市場が大きく変化する中で、同社の研究戦略はこれまでと何が変わり何が変わらないのか。日本を代表するITベンダーの動向は、今後のIT市場のトレンドを探る上でも注目される。
「富士通の事業戦略の目標は、『Fujitsu Uvance』によって最適なソリューションを提供し、お客さまから最も信頼されるパートナーになることにある。それを支えるのが5つのキーテクノロジーだ」
富士通 執行役員 SEVP CTO,CPO 兼 システムプラットフォームBG Co-HeadのVivek Mahajan(ヴィヴェック・マハジャン)氏は、同社が10月11日に研究拠点のある神奈川県川崎市の川崎工場で、研究戦略について記者およびアナリスト向けに開いた説明会でこう切り出した(写真1)。
Fujitsu Uvanceは、富士通が2021年10月に立ち上げたグローバルソリューションの事業ブランドで、2030年の社会の在るべき姿を起点に、その実現に向けて起こり得る社会課題をクロスインダストリーで解決するための取り組みを指す。具体的には、サステナブルな社会へ移行する「サステナビリティートランスフォーメーション(SX)」をミッションに掲げ、社会課題を解決する4分野のインダストリーと3分野のテクノロジー基盤、合わせて7つの分野を重点領域として注力していくといった内容だ。
そして、その7つの重点領域を支えるのが、図1に示す「5つのキーテクノロジー」である。Mahajan氏は、「これらのテクノロジーについては、当社がグローバルでトップレベルを追求していく」との決意を示した。
「富士通の研究戦略は、この5つのキーテクノロジーをけん引するものだ」
Mahajan氏に続いて説明に立った富士通 執行役員 EVP 富士通研究所長の岡本青史氏はこう語り、研究戦略として「最先端技術の公開」「共創研究の加速」「海外拠点の強化」の3つを掲げ、それらによって研究開発したテクノロジーの事業化をスピードアップしていくことを強調した。以下、3つの研究戦略の要点を挙げておこう。
最先端技術の公開では、それぞれの研究領域でプラットフォーム化を推進。例えば、富士通独自のAIエンジンとユースケース単位のコンポーネントを25個公開済みの「Fujitsu AI Platform(コードネーム:Fujitsu Kozuchi)」(4月20日発表)、世界最大級の量子シミュレーターと連携したプラットフォームを提供する「Fujitsu Hybrid Quantum Computing Platform」(10月5日発表)などがある。
共創研究の加速では、オープンソースソフトウェア(OSS)コミュニティーとの連携として、Linux Foundationで技術の品質向上やユースケース開拓を推進。また、スタートアップとも連携し、尖った技術を持つ企業と未踏の分野に挑む構えだ。さらに産学連携についても、富士通の研究員が国内外の大学に常駐あるいは長期滞在し、さまざまな分野の先生や学生との連携を進める取り組みに注力している(図3)。
海外拠点の強化では、高度専門人材の積極的な採用を進めている。