「Autodesk University 2023」が開幕、基調講演で「Autodesk AI」を発表

今回は「「Autodesk University 2023」が開幕、基調講演で「Autodesk AI」を発表」についてご紹介します。

関連ワード (ソフトウェア等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 Autodeskは米国時間11月13~15日にかけてラスベガスで年次カンファレンス「Autodesk University 2023」(AU 2023)を開催している。初日の基調講演には社長兼最高経営責任者(CEO)のAndrew Anagnost氏をはじめとする経営幹部が登壇し、新機能「Autodesk AI」などを中心に、同社プラットフォームの今後の方向性を示した。

 AU 2023には、3日間にわたって1万人以上のデザイナー、エンジニア、建築設計者、クリエイターが参加する。600超のラーニングセッションや100を超える顧客&パートナーセッション、AIに特化した50以上のセッションなどが用意されている。

 講演の冒頭、Anagnost氏は「インフレーションやサプライチェーン、労働力不足などの課題をはじめ、世界の不確実性は加速している」といい、その上でテクノロジーの重要性を指摘した。しかし、テクノロジーの進展に伴い、業務に使用するソフトウェアツールは複雑になり、データの分断が発生している。膨大なデータの中から必要なファイルを探し出すなど、非生産的で非創造的な作業が増える要因となっている。

 そうした状況の中、Anagnost氏は「われわれは新しい時代の転換点にいる」といい、AIが実際にビジネスを変える段階にきていると強調した。

 Autodesk AIは、同社の製品群に統合されたテクノロジーとなる。複雑な問題に対する最適な解決策を自動的に生成したり、非生産的な作業を最小限に抑えたりすることで、より創造的で効率的な方法で作業する機会を提供するとしている。

 同社は、製品設計・製造向け「Fusion」、メディア&エンターテインメント(M&E)向け「Flow」、建築・エンジニアリング・建設・運用(AECO)向け「Forma」といったインダストリー(業界別)クラウドを展開している。また、それらをつなぐ基盤として「Autodesk Platform Services」が位置付けられている。同社では、これらの製品群を総称して「Design & Make Platform」と呼んでいる。

 講演では、これらの製品に実際にどのようにAIが活用されるのかが披露された。

 製造設計・製造ソリューション担当エグゼクティブバイスプレジデントのJeff Kinder氏は、電気自動車メーカーRivian Automotiveのユースケースを紹介した。同社は、車両開発のために新たな設計・製造プロセスに取り組んでいる。

 例えば、部品の迅速な設計と試作に製品設計・製造向けの業界クラウドであるFusionを、設備の設計には「Revit」を活用している。また、設計ツール「Autodesk Alias」と「Autodesk VRED」の仮想現実(VR)を組み合わせ、分散したチームに没入型の設計レビュー体験を提供している。

 Fusionの機能強化ついては、コンピューター支援製造(CAM)ソフトのツールパス(切削ツールなどが加工時にたどる経路)生成を自動化するFusionワークフローが開発されている。これにより、ツールのプログラミング時間を最大80%削減できる、とKinder氏は説明した。

 また、新たなパートナーシップとして、Cadence Design Systemsとの協業が発表された。同社は、集積回路やプリント基板などのシステム設計ツールを提供する企業で、今回の提携によりCadenceのプリント基板設計機能がFusionと連携し、データを双方向にやりとりできるようになる。

 Kinder氏は続いて、製造工場や物流倉庫向けの3Dシミュレーションソフトを提供するFlexSimの買収についても触れた。同社は工場の設計と運用の両方に関するデータを活用して、デジタルファクトリーの実現を支援するもので、工場の企画・設計段階から、構築・運営段階まで、Autodeskの工場運営、建築設計、建設ソリューションと組み合わせることで、最適な工場環境を提供するとしている。

 メディア&エンターテインメント(M&E)向けの業界クラウドがFlowになる。「テクノロジーによって設計や製造の方法が変化してきたが、エンターテインメントの世界も例外ではない。コンピューターの台頭により、コンテンツが爆発的に増加し、制作現場はより複雑になった」とメディア&エンターテインメントソリューション担当エグゼクティブバイスプレジデントのDiana Colella氏は話す。

 そして、Flowを支えているのは、オープンAPIで構築されたデータモデルになる。これが、制作現場内で全てのアセット、バージョン、フィードバックの信頼できる唯一の情報源として機能する。その一例として、Colella氏はFlowを活用して制作された短編映画とその舞台裏を披露した。

 FlowにおけるAI活用のユースケースの一つがスケジュール管理になる。Autodesk AIを活用した「Generative Scheduling」は、これまで数日かかっていたスケジュール管理のプロセスを数分に短縮するとともに、チームリソースの予測や計画を最適化して、必要に応じて調整できるようにする。

 また、Wonder Dynamicsとのコラボレーションによって、3DCGアニメ制作ソフト「Maya」の新しいプラグインが開発された。これにより、Mayaから「Wonder Studio」にCGキャラクターをシームレスにエクスポートできるようになる。

COMMENTS


Recommended

TITLE
CATEGORY
DATE
透明性を高めたサービスで安全なデジタル社会に貢献–カスペルスキー・藤岡社長
IT関連
2022-01-19 19:09
SafariもWebAssemblyのガベージコレクション機能の実装に着手。Technology Preview 167で明らかに
Apple
2023-04-07 14:28
電気代が数倍? 電力取引価格の高騰で「市場連動型プラン」がピンチ 対応に追われる電力小売事業者
くらテク
2021-01-13 07:15
GitHub、全サービスがデータベースの設定変更ミスでアクセス不能に。設定を元に戻して30分後に復旧
GitHub
2024-08-19 15:12
中国のSNSで人気の個人メディア「自媒体」を当局が新ルールで抑制、政治を扱うメディアは風前の灯火
パブリック / ダイバーシティ
2021-02-03 20:02
間もなく登場するOculus Quest 2はPCの無線ストリーミングに対応し仮想オフィスも実現
VR / AR / MR
2021-04-15 18:40
ウィズセキュアのセキュリティカンファレンス「SPHERE24」–写真でめぐる会場内
IT関連
2024-06-08 08:43
ヴィーム、クラウドでのデータの活用と保護に向けた新たな機能群を発表
IT関連
2021-05-26 14:42
クラウドのセキュリティ確保は自動化にポイント–Datadog報告書
IT関連
2024-06-06 07:40
ランサムウェア攻撃の変遷–傾向と背景
IT関連
2022-06-09 02:41
DX人材育成の課題–解決の方向性は「自律的な学び」
IT関連
2024-09-25 10:30
セールスフォース、非営利団体向けクラウドサービスなど開始
IT関連
2021-06-08 07:45
富裕層以外の投資家にも道を開くエクイティクラウドファンディングをメインストリームに押し上げたいGumroad
VC / エンジェル
2021-05-18 05:27
GitHub、プライベート脆弱性レポート機能を一般提供
IT関連
2023-04-22 12:40