AWS、3つのサーバーレスイノベーションを発表–「re:Invent 2023」基調講演

今回は「AWS、3つのサーバーレスイノベーションを発表–「re:Invent 2023」基調講演」についてご紹介します。

関連ワード (クラウド等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 Amazon Web Services(AWS)は米国時間11月27日、年次イベント「re:Invent 2023」をネバダ州ラスベガスで開催した。開催初日の夜は、ユーティリティコンピューティング担当シニアバイスプレジデントのPeter DeSantis氏が登壇。同講演では主に、同社が長年取り組んできたサーバーレスの変遷と、それに関する新たなサービスを説明した。

 DeSantis氏は、同社がこれまでクラウドストレージサービス「Amazon S3」やクラウドコンピューティングサービス「AWS Lambda」といった、大規模なサーバーレスサービスの提供を通して、ユーザーに安全で信頼性の高い、スケーラブルなコンピューティングとストレージを提供してきたと話す。

 AWSは、クラウドコンピューティングに対して「Elasticity(弾力性)」「Security(安全性)」「Performance(パフォーマンス)」「Cost(費用)」「Availability(可用性)」「Sustainability(持続可能性)」――の6つの要素が重要だと示してきた。「サーバーレスコンピューティングは、これらの要素を進化させている」(同氏)

 今回、新たに発表されたサーバーレスサービスは、「Amazon Aurora Limitless Database」「Amazon ElastiCache Severless」「Amazon Redshift Serverless Next-generation AI-driven scaling and optimizations」の3つ。これらの提供を通して同社は、顧客がデータインフラストラクチャーを迅速に拡張し、コスト最適化やデータの価値を容易に最大化できるよう支援するという。

 Amazon Aurora Limitless Databaseは、リレーショナルデータベース(RDB)「Amazon Aurora」において毎秒、数百万の書き込み処理を実行し、ペタバイト(PB)規模のデータを扱う大規模なアプリケーションを支える。これを実現するため、同社は独自のハイパーバイザー「Caspian」を開発した。

 これまで、大規模なデータベースをホストしようとすると、複数の「Aurora Serverless」のクラスターを受けて、ユーザー自身がデータベースの負荷を分散する「シャーディング」をする必要があった。Amazon Aurora Limitless Databaseを使うことで、ユーザーが分散の仕組みを独自に開発・メンテナンスする必要がなくなる。

 コンピューティングまたはストレージの要件が増加すると、Amazon Aurora Limitless Databaseはワークロードの需要を満たすために、サーバーレスインスタンス内では垂直方向に、インスタンス間で水平方向にリソースを自動的にスケーリングする。1つのデータベースとして扱えるため、メンテナンス作業やデータベースのパラメーター変更などは一度作業をするだけで全体に広がる。

 同サービスは、PostgreSQL互換版で限定プレビューを開始しており、アジアパシフィック(東京)でも利用できる。MySQL互換版は近日予定だとしている。

 また、分散システムを実現するためには、高度な時刻同期とキャッシュが必要だという。同社では、時刻同期サービス「Amazon Time Sync」を開発し、マイクロ秒以内で正確な同期を図れるようにした。ローカルと衛星ベースで基準クロックを提供できるように、原子時計をラックの中に設置し、EC2に配信する。これによって高度な時刻同期を行うという。この時刻が正確であることで、複数の分散されたシステムでもデータの順序を一貫できる。

 キャッシュについては、Amazon ElastiCache Severlessを発表。同サービスでは、インフラストラクチャーの設定やプロビジョニングなしに、可用性の高いキャッシュを1分未満で作成できる。これによりユーザーは、キャッシュが保有するリソースやメモリー、CPUを監視するという複雑な作業が不要になるという。また、パフォーマンスの劣化やダウンタイムがなく、アプリケーションの要求に応じて水平/垂直に即座にスケールができる。

 同サービスでは、複数のアベイラビリティーゾーンに対して自動的にデータを複製(レプリケーション)し、全てのワークロードに99.9%の可用性を提供する。料金体系は、保存したデータ量と使用したコンピュートリソースの消費量に基づく。同サービスは、「Memcached」と「Redis」の2つのエンジンから選ぶことができ、全てのAWS商用リージョンで一般利用を開始している。

 Amazon Redshift Serverless Next-generation AI-driven scaling and optimizationsは、AIを活用したワークロードの予測により、リソースを自動的にスケーリングおよび最適化し、顧客のコストパフォーマンスをサポートする。

 具体的には、ユーザーが持つクエリーの複雑度やデータサイズ、実行頻度など、ワークロードの情報をAIが学習し、ユーザーが設定するコストパフォーマンスの目標を達成できるように、ワークロードのパターンに合わせてプロアクティブにリソース量を調整する。

 ユーザーは、AWSコンソールでコストと性能をどの程度重視するかを設定できる。現時点では、テストと評価を目的としたプレビュー版をアジアパシフィック(東京)でも提供しているという。

 顧客事例として講演に登壇したのは、コンピューターゲームなどを開発・提供するRiot GamesでGlobal Infrastructure and Operationsの責任者を務めるBerent Rich氏。同社は、AWSのクラウドに移行し、eスポーツコンテンツの開発と配信の最適化を進めている。

 eスポーツでは、遅延が命取りになる。Riot Gamesでは、公平で楽しいゲームの実現のためにフルマネージド型データベースサービス「AWS OutPosts」を活用し、35ミリ秒以内の遅延、1秒に128回のサーバーへのアクセスを実現したという。また、新型コロナウイルスの感染症により、リモートでもアクセスできる仕組みが必要となり、遠隔でも実行できるようにした。

(取材協力:アマゾン ウェブ サービス ジャパン)

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