AIの評価と人の価値観は?–三菱電機がAIの倫理と社会について考えるイベント
今回は「AIの評価と人の価値観は?–三菱電機がAIの倫理と社会について考えるイベント」についてご紹介します。
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三菱電機は、AIの倫理と社会について考えることをテーマにしたイベント「この物語、あなたはどう読む?マンガ×AI展」を12月6日から東京・銀座の東急プラザ内にある同社のイベントスペース「METoA Ginza」で開催している。AIの在り方や企業としてのAIの透明性の担保、また、ロボットと社会課題の関わりなどをテーマに取り上げ、体験型の展示を通じて来場者にAIとの共生する未来への関心を高めてもらうことを目的にしている。
同社は、航空宇宙や産業制御システムから家電製品まで広範な事業を展開し、AIの実装や活用に取り組む。2021年12月には、AIの利便性だけでなく安心・安全を考慮したAIの開発と活用推進のための「AI倫理ポリシー」を策定。同社の統合デザイン研究所が、AIの倫理を自分事として考えるための議論の場を醸成する「AI SPEC」プロジェクトを推進している。今回のイベントは、AIの進化によって起こり得る社会問題を設定し、AIが抱える本質的な倫理の特性を一般に広く紹介するとともに、一般の人々にも一緒に考えてもらう機会を目指しているという。
注目の展示が、マンガを活用したAI倫理の体験になる。架空の未来を設定したストーリーでは、AIのアノテーション(データへの情報のラベル付け)が専門的な職業(アノテーター)になり、子供を持つお母さんがフリーランスのAIアノテーターとして働く。子供にとっては価値がある“ガラクタ”でも、お母さんは仕事としてそれを“ゴミ”とラベル付けする。果たして、どちらの価値観が社会的に“正しい判断”となるのか――。
三菱電機 宣伝部 METoAコミュニケーショングループマネージャーの森岡玲永子氏は、「このイベントは若い世代を対象にしている。AIが提示するものは、その学習データに付与される情報が大きく影響するが、その情報を付与するのは人であり、その人の価値観が影響する。若い人の中には、そうしたことを知らずにAIが提示するものを信じてしまう人もいるかもしれない。こうしたことを知りAIの倫理に関心を持っていただきたい」と話す。
実際に来場者がAIのアノテーションを体験できる仕掛けも用意する。例えば、落ちているモノを拾うしぐさを表現したイラストを見て、イラストに「ゴミを拾う善意の行為」か「モノを盗む不審な行動」かの情報ラベルを付与する。10種類の設問に答えて、自身の価値観がほかの回答者の平均値とどの程度異なるのかを知ることができる。
また、マンガ「ちはやふる」などで知られる小泉徳宏氏主宰のシナリオ制作チーム「モノガタリラボ」が監修したオリジナル作品「アイするということ」と「この星、空の下で」を公開している。「この星、空の下で」は、先進国の廃棄物を回収し収入源として暮らす架空の国を舞台に、廃棄物の中から金になる“ゴミ”を人が判断し、AI搭載ロボットに遠隔操作で指示を出しながら豊かな暮らしを目指そうとする。現実社会でもスラム街などでこうした生活を送る人々は多いが、そこにAIやロボットが導入されれば、そうした暮らしがより良くなるのだろうか――。現実社会が抱える問題と技術がもたらす未来について考える機会を提供する。
このほかにもAIが提示するものの根拠が不明となる「AIのブラックボックス問題」を取り上げている。推理ゲームを通じてAIの推論過程に“ブラックボックス”が存在することを体験でき、同社が開発を進める説明可能なAI技術や開発担当者を紹介している。
マンガの体験展示に関連してロボットをスマートフォンで遠隔操作する体験展示も行う。南米の高地にある宇宙観測施設のメンテナンスを行う遠隔操作ロボットを題材としており、過酷な環境でも人が現場に行くことなく直感的に操作できるロボットの技術を身近なスマートフォンを使って体験できる。
イベントはMEToA Ginzaの2階と3階で行われ、オープン時間は午前11時から午後7時までとなっている。