日立が環境配慮型ストレージで目指す「脱炭素」と「高度循環」
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日立製作所は、世界で深刻化する環境課題の動向と自社の経営方針を踏まえ、長期視点で目指す社会の姿を明確にした「環境ビジョン」を定めている。その実現に向けては、「脱炭素社会」「高度循環社会」「自然共生社会」の構築を掲げ、環境長期目標「日立環境イノベーション2050」を策定・推進している。
昨今、生成AIの活用やDXの推進により大量のデータを保管するためのストレージの需要が拡大している。同社のストレージ事業においても、高効率電源の採用や独自技術による消費電力の削減に貢献する機能の開発・強化など、二酸化炭素(CO2)排出量の削減に向けた取り組みを継続してきた。加えて、高度循環社会の実現に向けた省資源・再資源化に取り組むため、再生プラスチックに焦点を当て、高い安全基準が求められる企業・官公庁向けストレージ製品での利用を推進してきた。
まず、脱炭素への取り組みでは、温室効果ガス(GHG)の排出を実質ゼロにするカーボンニュートラルの達成に向けた継続的な取り組みを支援するサービスを展開しており、GHG排出量の削減計画の実行支援やGHG排出量データの活用支援なども計画中だ。
同社の環境配慮型ストレージ製品はこれまで、世代を重ねるとともに1テラバイト当たりの年間CO2排出量を前機種比で約30~40%削減してきた。例えば、独自ハードウェアによる圧縮時の性能向上では、消費電力を約60%削減する一方で、圧縮時の読み出し/書き込み性能を約40%向上させている。「ハードウェアとソフトウェアを組み合わせた技術で高性能・高効率なデータ圧縮を実現している」と日立製作所 クラウドサービスプラットフォームビジネスユニット ITプロダクツ統括本部 の保坂文昭氏は話す。
環境関連の第三者認証も取得しており、排出量の可視化と省エネ化を推進している。その一つが「Carbon Footprint of Products」(CFP)で、商品やサービスのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量をCO2に換算して表示するものとなる。同社は、製品のライフサイクルでの環境負荷を定量的に把握し、より専門性・透明性・中立性の高い情報開示をするためにCFP宣言の取得に取り組んでいる。
もう一つが「ENERGY STAR Data Center Storage V2.0」で、米国環境保護庁(EPA)によって消費電力などについての基準が設定されている。この基準を満たすコンピューター、サーバー、画像機器、ディスプレイ製品にはロゴの使用が認可される。なお、同社はオールフラッシュアレイストレージ製品で同認定を取得している。
また、保坂氏は「省電力IT機器への切り替えによりデータセンターの消費電力削減に貢献できる」と話す。例えば、容量14ペタバイトの「Hitachi Virtual Storage Platform G1000(VSP G1000)」を同容量の「VSP 5600」に置き換えることで、消費電力は297.3kWから5.7kW、設置面積は41.0平方メートル(60ラック)から1.4平方メートル(2ラック)になり、年間CO2排出量を98%、設置面積を97%削減できるという。
さらに、「VSP 5200/5600」は、ストレージコントローラーのみのアップグレードに対応しており、既存ドライブの継続利用で余計な廃棄物を減らし、データ移行が不要になることで消費電力も抑えられるとのこと。
「日立のストレージ製品には高効率電源を採用しており、次機種では国際規格『80 PLUS』の最上位グレードである『Titanium』の電源装置を採用する予定となっている」(保坂氏)