日立製作所、創業の地である茨城県日立市を「サステナブルなまち」に

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 茨城県日立市と日立製作所は12月21日、「デジタルを活用した次世代未来都市(スマートシティ)計画に向けた包括連携協定」を締結した。同日には、日立市役所において記者会見が行われ、同市 市長の小川春樹氏と日立製作所 代表執行役 執行役副社長の徳永俊昭氏が、次世代未来都市への共創プロジェクトについて説明した。

 日立市では、2022年度から今後10年間のまちづくりの道しるべとなる「日立市総合計画」が開始している。前期基本計画では、「ひたち成長戦略プラン」を重点プロジェクトとして掲げ、その一つとして、豊かな暮らしと活力が持続するサステナビリティーシティーを目指す「未来都市プロジェクト」を設定し、施策・事業の戦略的な推進を図っている。

 日立市は、日立製作所の創業の地であり、現在では日立グループの制御・運用技術(OT)、プロダクトを支える主要な事業所や研究開発拠点が10カ所以上集結している。徳永氏は「OTとプロダクトを担う事業所や研究開発をリードする日立研究所、地域医療を支える日立総合病院が日立市に集まっている。これは、事業資産の集積といっても過言ではない。ここに当社のデジタル事業の部隊が入り込むことで、OTとプロダクトをデジタルでつなぎ、さらに強化することで社会イノベーションを加速できると考えている」と説明した。

 この協定は、日立市出身の徳永氏が「何か日立市に対して支援できることはないか」という思いから、6月に話しを持ちかけたという。これに対して小川氏は、「今も日立製作所が本市に対して特別な思いを寄せてくれていることに感激を覚え、将来に向かって共に永続的な発展を遂げたいと」と話し、共創プロジェクトを共に推進できることをうれしく思うと述べた。

 具体的な取り組みとしては、デジタルを活用しながら(1)グリーン産業都市、(2)デジタル医療・介護、(3)公共交通のスマート化――の3点を軸として、日立市の活性化と住民の安全な暮らしを実現するために共創プロジェクトを推進する。

 (1)グリーン産業都市の構築では、産学金官連携による地域脱炭素社会の実現を目指し、デジタル技術を活用した地域内再生可能エネルギーの融通などにより、中小企業を含む地域産業の脱炭素化の促進を図るという。同市は「ゼロカーボンシティひたち」を表明しており、2030年には同市全体の二酸化炭素(CO2)排出量を2013年比で46%削減、2050年には実質ゼロを目指している。

 同市は、産業部門のCO2の排出量が市全体の約7割を占めており、その半分が中小企業の排出だという。この状況を踏まえ、中小企業の脱炭素経営を支援する体制づくりとして、産学金官連携による「日立市中小企業脱炭素経営促進コンソーシアム」内に「地域GX推進分科会」を設立し、情報共有と施策の検討を行う。

 また、日立製作所の大みか事業所では、自社工場を実証のフィールドにして工場におけるCO2削減に取り組んでいる。このノウハウを生かした「脱炭素経営支援システム」を同市内の中小企業に提供することで、CO2排出量の見える化や削減のコンサルティング、削減策実行の支援ができるとしている。

 (2)デジタル医療・介護の推進については、住民の健康維持・増進のための施策におけるデジタル化の推進を図る。例えば、住民が医療などによりアクセスしやすくなるためのオンライン化の推進をはじめ、住民の健康や医療、介護にかかわるデータを、行政、医療機関、介護事業所、家族で共有する環境をつくり、データに基づく適切な健康維持・増進、疾病・介護予防施策、医療・介護サービスを提供するという。

 具体的には、健診データに基づく将来の疾病リスク分析、その予防に向けた市でのさまざまな健康増進事業を連携させた一人一人の状態に合わせたサービスの提案などを考えているという。将来的には、個人の健康に関する情報(PHR)を一元的に管理し、それらを活用した住民の健康状態の見守り、住民に寄り添った生活習慣のアドバイスができるようにするという。

 公共交通のスマート化に対しては、地域の交通手段のシームレスな利用や利便性向上に向けたデジタル活用を検討する。具体的には、AIなどのデジタル技術を用いて、利用者の多様なニーズに応える移動手段のシームレス化や、自宅から路線バスなどの公共交通の結節点まで、または市街地の移動手段として、歩行者と共存可能な次世代モビリティーの検討を進めるとしている。

 両者は3つのテーマに優先的に取り組み、具体的な施策で実効性の検証を推進する。必要なテーマは適宜追加するとともに、産学金官連携でのエコシステムの拡充にも対応していくという。

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