日立製作所が日立市との共創で目指す「スマートシティーのビジョン」とは
今回は「日立製作所が日立市との共創で目指す「スマートシティーのビジョン」とは」についてご紹介します。
関連ワード (CIO/経営、松岡功の「今週の明言」等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、日立製作所 代表執行役 執行役副社長の徳永俊昭氏と、トレンドマイクロ セキュリティエバンジェリストの岡本勝之氏の「明言」を紹介する。
茨城県日立市と日立製作所は先頃、「デジタルを活用した次世代未来都市(スマートシティ)計画に向けた包括連携協定」を締結し、日立市長の小川春樹氏と日立製作所の徳永氏が共同会見を開いた。冒頭の発言は、徳永氏が協定の内容と取り組みについて説明した際に決意を述べたものである。
会見の内容については関連記事をご覧いただくとして、ここでは徳永氏の冒頭の発言に注目したい。
徳永氏は協定の内容について説明に入る際、日立製作所の立場から「今回の日立市との共創プロジェクトは、日立市の活性化はもちろんだが、全国のスマートシティーのモデルになれるような、サステナブルなまちづくりへの挑戦であると同時に、大きなチャンスであると考えている」との決意を示した。冒頭の発言は、このコメントの意をくんだものである。
なぜ、サステナブルなまちづくりに挑むのか。同氏は自問自答して次のように語った。
「その理由は、今、世界中の多くの地域がこの課題に直面しているからだ。現代社会では少子高齢化や脱炭素化、デジタル化への対応など、課題の多様化、複雑化が急速に進んでいる。これらの課題に対応するため、さまざまな取り組みが始まっているが、自治体や企業が単独でこれらの課題を解決することは極めて難しい。自治体や企業、その他さまざまなステークホルダーに加えて、住民の皆さまご自身が課題と向き合い、共に考え、未来の社会をつくっていく。その必要があると強く認識している。それが『Society 5.0』が目指す姿であり、社会イノベーションに取り組む日立製作所の重要なミッションであると考えている」
その上で、徳永氏は共創プロジェクトで取り組むテーマについて、次のように説明した。
「今回の共創プロジェクトでまず取り組むテーマは『グリーン産業都市』『デジタル医療・介護』『公共交通のスマート化』の3つだ。日立市が策定した『日立市総合計画』によって掲げられている次世代未来都市を目指して、日立市の皆さまと議論を進める中で、日立製作所の強みが生かせるこの3つのテーマから取り組みを始めることにした。日立製作所は日立市との共創を通じて社会イノベーションを起こし、Society 5.0を具現化するという確固たる決意だ」
図1が、日立製作所が日立市との共創によって目指すSociety 5.0の姿だ。これは取りも直さず、日立製作所が描くスマートシティーのビジョンでもある。
スマートシティーの実現に向けてはさまざまなアプローチがあるが、日立製作所は自らの強みを生かして上記の3つのテーマから共創プロジェクトを推進する。もちろん、日立市ならではの事情もあるだろうが、日立製作所のスマートシティー事業戦略として筆者には興味深く映った。モデルケースとして、ぜひ今後の進捗(しんちょく)についても情報公開していってもらいたい。